【6月29日 AFP】米下院本会議は28日、銃の取り締まり作戦の失敗に関する司法省の内部文書を議会の調査委員会に提出することを拒んだとして、エリック・ホルダー(Eric Holder)司法長官を議会侮辱罪で告発する決議案を255対67の賛成多数で可決した。

 現職の閣僚を対象にこのような採決が行われたのは初めて。ナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)民主党院内総務らが退席するなど民主党議員数十人が棄権したが、17人が賛成票を投じた。司法省に文書を提出させるよう下院の委員会が連邦裁に訴えることを認める決議も可決された。

 米司法省のアルコール・たばこ・銃器取締局(Bureau of Alcohol, Tobacco, Firearms and Explosives)はアリゾナ(Arizona)州でメキシコの麻薬カルテルに密輸される銃を監視する目的でおとり捜査作戦「Operation Fast and Furious」を実施したが、監視されていた銃のうち多数が行方不明になり、そのうち2丁が米国境警備官の殺害現場で見つかっていた。

 ホルダー長官はこの件について9回証言し、7600点以上の文書を提出したが、調査を主導する下院監視・政府改革委員会(Oversight and Government Reform Committee)のダレル・アイサ(Darrell Issa)委員長(共和党)は提出された文書は全体の10%未満に過ぎないと批判している。

 オバマ政権は「明らかな政治ショー」だとして共和党の動きを批判した。11月の大統領選を控え、議会を舞台にしたオバマ政権と共和党の対決が激化している。(c)AFP/Michael Mathes