【6月26日 AFP】米国生まれの人気キャラクター、船乗りのポパイ(Popeye)。缶詰のホウレンソウを飲み込むと筋肉もりもりになり、ピンチを切り抜ける――このポパイの行為が正しかったことが、スウェーデンの研究チームによって証明された。

 ホウレンソウには硝酸塩が含まれているが、ストックホルム(Stockholm)のカロリンスカ研究所(Karolinska Institute)の研究チームが硝酸塩を加えた飲み水を1週間与えたマウスを解剖し、対照群のマウスと筋機能を比較したところ、硝酸塩入りの水を飲んでいたマウスの筋肉が増強されていたことが分かった。

 研究に参加したAndres Hernandez氏によると、マウスが摂取した硝酸塩の量を人間に当てはめるとホウレンソウを1日当たり200~250グラム食べた程度に相当するという。緩やかな動きを長時間続けるときに働く遅筋への効果はみられなかったが、瞬発的な動きに使われる速筋には明らかな効果が見られたという。

 今回の研究で硝酸塩によってカルシウムの蓄積と放出に関与する2種類のタンパク質が増えていたことが分かった。これらのタンパク質が増えると筋肉内に放出されるカルシウムの量が増え、カルシウムの放出量が多いほど筋肉は強く収縮するという。

 人間について考えると、例えばホウレンソウを食べて硝酸塩を摂取すればウエートリフティングや短距離走に必要な筋肉を強くすることができる。さらに、速筋は他の筋肉よりも疲労しやすいが、筋力が強くなれば収縮回数が減って結果的に持久力も増すのだという。

 筋トレマニアには朗報だが、研究チームは筋力のない人、筋肉に疾患のある人、高齢者の筋機能改善効果の有無を調べる方針で、マウスでさらに数回実験した後、人間を対象にした実験を行う計画だ。論文は米専門誌「生理学ジャーナル(Journal of Physiology)」に掲載された。(c)AFP