【6月18日 AFP】「OD05オムニバス(OD05 Omnibus)」という中国政府系とみられるファンドが、トヨタ自動車(Toyota Motor)やホンダ(Honda Motor)など日本企業への投資を増やしている。日本経済新聞(Nikkei)が17日、報じた。

 日経新聞が独自調査の結果として伝えたところによると、今年3月末時点でOD05オムニバスが大株主となった日本企業は174社。保有株式の時価総額は3兆5800億円で、ともに過去最高に達したという。

 たとえば、トヨタの発行済み株式の1.9%を保有し9番手の大株主になっているほか、ホンダの株式2.2%、カメラメーカーのニコン(Nikon)の株式1.9%をそれぞれ保有。重機メーカーのコマツ(Komatsu)や日産自動車(Nissan Motor)の株式も持っているという。

 OD05オムニバスは、オーストラリアに本社があるとされる投資信託会社だが、所有者などの詳細は分かっていない。だが多くの市場関係者は、同社の背後には中国政府系ファンドの中国投資有限責任公司(China Investment CorporationCIC)がおり、世界最大の3兆ドル超の外貨準備高管理の一端を担っているとみている。

■円高背景に中国の対日投資?中国国債購入の効果期待

 CICについては今回の報道に先立ち、欧州の国債購入を中止したことが報じられた。CICの楼継偉(Lou Jiwei)会長は今月、米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street JournalWSJ)に対し「ユーロ圏が崩壊する危険性が高まっている」と述べ、CICが欧州の株式と債券市場への投資額の規模を縮小したと語った。

 一方、日本の最大の貿易相手国である中国は3月、日本に中国国債の購入を認めたが、主要国が中国政府から直接国債を購入するのはこれが初めてと考えられている。読売新聞(Yomiuri Shimbun)によれば、日本企業株購入のため中国では円需要が高まっており、これが原因で進む急激な円高を中国国債購入によって抑制したいというのが日本政府関係者の考えだという。(c)AFP