【6月14日 AFP】高齢の父親から生まれた子どもや孫たちは長生きする可能性があるとの研究結果が、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)今週号に発表された。比較的高齢でも子作りができるなど遺伝上の利点がありそうだという。

 米ノースウエスタン大学(Northwestern University)の研究チームは、高齢の男性が子孫を残すと、染色体の先端にあるテロメアDNAの長さが伸びる進化的適応が急速に起こり、より健康的に年齢を重ねることが可能になると見ている。論文の主執筆者、ダン・アイゼンバーグ(Dan Eisenberg)氏は次のように説明している。

「もし、あなたの父親や祖父が長生きして高齢で子どもを作ることができたなら、あなた自身も同じような環境に生きていると考えられる。こうした不慮の死が少なく、年をとらないとパートナーが見つけられないような環境においては、一定の年齢まで達することのできる体を作ることが進化上の適応戦略と言える」

 研究チームはフィリピンで、若者とその母親計1779人のDNAを分析。高齢の父親を持つ人々がより長いテロメアを受け継いでおり、この影響は世代を超えて積み重ねられていくことを発見したという。

 ただ、父親が高齢男性の場合には遺伝子変異によって流産や障害児が生まれるリスクが高まることが別の研究で示されているため、研究チームは高齢での子作りを推奨していない。

 共同執筆者のクリストファー・クザワ(Christopher Kuzawa)氏は今回の研究結果について、テロメアが長くなることで加齢に伴う健康上の問題や病気が減少すると考えられるが、確証を得るためにはさらなる研究が必要だと指摘している。(c)AFP

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