【4月29日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)大統領がハリウッドのスターたちを前に、共和党の大統領候補に指名される見込みのミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事を「さっと料理」し、ロムニー氏の哀れな愛犬の話を蒸し返した。

 28日に開かれた米ホワイトハウス記者会主催夕食会(White House Correspondents' Association Dinner)でのオバマ大統領のトークは、激しい中傷合戦が交わされがちな大統領選の中では珍しい、軽妙な場面となった。

 このディナーは、ホワイトハウス担当記者やハリウッドのトップスターたちが大統領を囲む毎年恒例の催し。ここで大統領はジョークを述べて自分を「クール」に見せ、政治的ライバルを意のままに料理する機会を与えられた。この機に乗じてオバマ大統領は、11月の大統領選で戦う相手となるであろうロムニー氏を話題にジョークをまぶし軽くあしらった。

 まず専業主婦であるロムニー氏の妻、アン夫人を民主党の女性活動家が批判し、アン夫人も反論、両陣営のつばぜり合いとなった最近の論争について、オバマ大統領は「誰もがドロドロの大統領選になるだろうと予測している。だが、ありがたいことに家族は立ち入り禁止の領域だという点ではわたしたちはみな、意見が一致している」と前置きした。続けて大統領は「ただし、イヌに関する論争ならばフェアなようだね」と軽く切り込んだ。

 ロムニー氏は何十年も前の家族旅行の際に、愛犬を入れたケージを車の屋根にくくりつけたまま何時間も走ったことを、民主党支持者から繰り返し叩かれている。オバマ氏の前振りとともに、大統領専用機の上にくくりつけられたイヌ用ケージのイラストがディナー会場の大スクリーンに映し出されると、会場は湧いた。
 
 また2010年の中間選挙で共和党に多数派を握られた下院が、オバマ大統領の雇用創出計画やその他の政策の大半をくじいてきたことにも軽くジャブを入れた。「わたしは礼節を知り、非礼にならないよう心がけている。従って、どんな法律も通させまいという過酷なスケジュールの合間を縫って、今晩ここへ来てくださっている議員のみなさんには特に感謝したい」

 一方で数週間前、コロンビアの都市カルタヘナ(Cartagena)で開かれた米州首脳会議(Summit of the Americas)に出席していたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官が深夜、異国のナイトクラブで楽しんでいる写真が話題を呼んだ件についても、前回大統領選で民主党公認候補を競った思い出を交えて少々からかった。「4年前、わたしは熾烈な予備選でヒラリー・クリントンと一騎打ちとなった。4年後の今、彼女はカルタへナから酔って携帯メールを送るのを止めてくれない」

 しかし、大勢の米国人が依然、経済的痛みを感じている現状とオバマ大統領の「セレブぶり」を共和党が比較するなか、ハリウッドのセレブたちとたむろすることから大統領が得るものは少ないかもしれない。この日の夕食会にはソーシャライトのキム・カーダシアン(Kim Kardashian)や女優のリンジー・ローハン(Lindsay Lohan)、俳優ジョージ・クルーニー(George Clooney)らが出席していた。(c)AFP/Stephen Collinson

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