【4月27日 AFP】中国伝統薬15種類についてDNA配列検査を行ったところ、人体に有害な恐れのある物質やアレルゲン、絶滅危惧種の成分が見つかったとする豪研究が、オンライン科学誌「プロス・ジェネティクス(PLoS Genetics)」に発表された。

 日本の漢方薬の起源とされる中医学(TCM、中国伝統医学)は3000年以上の歴史を持つ。論文によると、この数十年間でアジア以外でも人気が高まってきており、現在TCMの世界市場は年数億ドル規模にも上る。だが、人気の高さとは裏腹に効能を証明する科学的証拠はほとんどない、と論文は指摘。むしろ、TCMが人体に及ぼす可能性のあるリスク研究が進められていると述べている。

 豪マードック大学(Murdoch University)のマイケル・バンス(Michael Bunce)氏率いる研究チームは、豪入国管理局が押収した薬草茶、カプセル錠、粉末、顆粒などについてDNA配列検査を実施。尿管がんや膀胱がんの原因と疑われているアリストロキア酸などの植物由来成分や、人体に害を及ぼす恐れのある麻黄(マオウ)などの危険物質を発見した。

「TCMには長い文化的歴史があるが、現代の消費者は服用を考える前に法律上や安全性の問題に注意を払わなくてはいけない」とバンス氏は警鐘を鳴らしている。

■絶滅危惧種の成分も、ワシントン条約に違反

 分析したサンプル15点から検出された68種類の植物種の中には、服用量を間違えると有害なのに包装に含有量についての記載がないものもあったという。

 また、ツキノワグマやレイヨウの仲間のサイガなど、輸出入が禁止されている絶滅危惧種の成分や、原材料として記載のない成分も発見された。たとえば、原材料を100%サイガだとうたった製品には、ヤギやヒツジのDNAが相当量含まれていたという。

 研究チームのミーガン・コフラン(Megan Coghlan)氏は、「ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約、Convention on International Trade in Endangered SpeciesCITES)で取引が禁止されている動物のDNAサンプルが複数検出された。はっきり言えば、これらのTCMは違法だ」と指摘。今後も検査を行っていくことで、絶滅危惧種の違法取引や有害な原料の取り締まりに役立てたいと語った。(c)AFP

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