【4月27日 AFP】日米両政府は27日、沖縄に駐留する米海兵隊のうち9000人を国外移転するとした在日米軍再編計画見直しに関する共同文書を発表した。米政府は、在日米軍問題をめぐって近年ぎくしゃくしていた日米関係の改善に期待を示している。

 移転対象となった海兵隊員9000人は、グアム、ハワイ、オーストラリアに分散配置。沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場(Marine Corps Air Station FutenmaMCAS Futenma)の移設問題の進展にかかわらず実行する。

 一方、再編問題で日米間の大きな妨げとなっていた普天間移設問題については、名護市辺野古への移設が「これまでに特定された唯一の有効な解決策」との見方を再確認し、引き続き両国はこの動きを堅持していくことを明記した。

 共同文書に記されたグアムへの移転費用は86億ドル(約7000億円)。米国防総省高官によれば、このうち3分の1を超える31億ドル(約2500億円)を日本側が負担するという。この高官は、「日本が厳しい経済状況にあることは、米国も十分認識している。そうした状況下で日本が多大な移転費用を負担することに感謝している」と語った。

 発表は、次週に野田佳彦(Yoshihiko Noda)首相の訪米を控えたタイミングで行われた。30日には、野田首相とバラク・オバマ(Barack Obama)大統領との会談が予定されている。

 人口密集地に位置する普天間飛行場をめぐっては2006年、辺野古沖への移設や在沖縄米兵8000人のグアム移転などで日米が合意した。だが、基地の完全移転を求める沖縄県民からは抗議の声が高まり、2009年に当時の鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)首相は「最低でも県外」などと発言した公約を反故にして批判を買った。

 現在、日本国内に展開する米軍4万7000人のうち、約半数が沖縄に駐留する。(c)AFP