【4月26日 AFP】ホッキョクグマは従来の説よりはるかに前の60万年前に近縁種から分岐していたとする論文が、20日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 従来の遺伝子分析では、ホッキョクグマが他の種から分岐したのは約15万年前だとされていた。しかし今回の研究で、北極の環境に適応するのに実際には5倍の年月がかかっていたことが明らかになった。そのため、現在急激に進行している気候変動に適応することができない可能性が懸念されるという。

 従来の研究は主にミトコンドリアDNA(mtDNA)に焦点を当てたものだったが、母親から子に受け継がれるmtDNAがゲノム全体に占める割合は小さい。これまでホッキョクグマは、比較的最近になってから北半球に生息するヒグマから進化した種だとされてきた。

 しかし論文によれば、核ゲノム内で別々に受け継がれてきたさまざまな遺伝情報を分析した結果、ホッキョクグマとヒグマは考えられていたよりもはるか昔に分岐した、遺伝的特徴が異なる別の種であることが判明したという。(c)AFP 

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