【4月13日 AFP】前年7月の独立以来、スーダンと国境地帯の領有権争いをしている南スーダン政府は12日、自国領内をスーダン空軍機が空爆したと非難した。1人が死亡したとの情報がある。

 スーダン軍機は12日、両国国境に近い南スーダン北部ユニティ(Unity)州の州都ベンティウ(Bentiu)にある戦略上重要な橋を攻撃したという。同州のギデオン・ガトパン(Gideon Gatpan)情報相は、スーダン軍の空爆で1人が死亡したと述べた。一方、スーダン側は空爆を否定している。

 国境地帯で前月起きた戦闘はアフリカ連合(AU)などの仲介でいったんは停戦したが、10日、南スーダン軍が越境してスーダン側の油田地帯ヘグリグ(Heglig)を制圧したことから再燃した。12日に空爆された南スーダンのベンティウは、同油田から約60キロにある。
 
 今回の衝突は長年の内戦の末、前年7月にスーダンから南スーダンが独立して以来最大の武力衝突で、一触即発で全面戦争へと激化する懸念が増している。

■非難の応酬

 両国の指導者は12日、相手国が「戦争を欲している」として互いに非難した。

 南スーダンのサルバ・キール・マヤルディ(Salva Kiir Mayardit)大統領は議会での演説で、スーダンのオマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)大統領が「南スーダン共和国に対する全面戦争を宣言した」と強く非難し、「私は常に、南スーダン国民を再び戦火にさらすことはないと言っているが、攻撃を仕掛けられるのであれば、わが国を自衛しなければならない」と語った。

 一方、スーダンのバシル大統領も「南スーダンの兄弟たちは、内戦中に彼らを支えた諸外国に左右される計画を遂行し、戦争への道を選んでいる。南スーダンにとってもスーダンにとっても戦争は利益とならないが、南スーダンの同胞たちは両国どちらの利益についても考えてはいない」と同じく相手を責め、自国の非を否定した。

 また、ヘグリグ油田が位置するスーダン・南コルドファン(South Kordofan)州のアフメド・ハルーン(Ahmed Haroun)知事は12日、10日の南スーダン軍の攻撃以来、スーダンの産油量の約半分を占める同油田の生産が停止していると述べた。

 国境周辺の油田地帯アビエイ(Abyei)地区の帰属をめぐって南北スーダンは対立している。ヘグリグ油田に関しては約4年前に国際的な仲介の下、アビエイ地区に含めないことで南スーダンも同意しているが、南スーダンはこれによってヘグリグがスーダンに帰属したとは認めていない。(c)AFP/Abdelmoneim Abu Edris Ali