【4月4日 AFP】これは「空飛ぶ車」?それとも「道路を走る飛行機」?――いずれにせよ、オランダで開発中のジャイロコプター型陸空両用車「PAL-VPersonal Air and Land Vehicle、個人用陸空両用車)」は、地上と空を最高時速180キロで走飛行することが可能だという。

 PAL-Vを開発しているオランダ企業PAL-V(本社:ラームスドンクヴェール、Raamsdonksveer)によれば、空中での航続距離は500キロ、最大巡航高度は1200メートルだという。また、地上では回転翼を折りたたんで合法的に公道を走行できる3輪自動車となり、最大1200キロの連続走行が可能だ。

「将来、自宅から空港へ運転しそのまま離陸、着陸したらまた陸路で目的地まで、これ1台でまかなえるようになる」と、PAL-V社のロバート・ディガマンサ(Robert Dingemanse)CEO(最高経営責任者)は語る。

 2008年に開発が始まったPAL-Vは先月、オランダ空軍基地で行われた試験飛行に成功した。最初の商用モデルは2014年の発売を予定しており、価格は25万~30万ユーロ(約2700~3300万円)になるだろうとディガマンサ氏は話す。

 また、オランダ航空宇宙研究所(National Aerospace Laboratory)と共に開発に協力するデルフト工科大学(Delft University of Technology)航空宇宙学部のジャッコ・フークストラ(Jacco Hoekstra)学部長は、「(PAL-Vは)個人飛行機旅行に革命をもたらすだろう」と話している。

 PAL-Vは交通渋滞から抜け出すのに最適な車だと思うかもしれないが、早まってはいけない。離陸に165メートル、着陸に30メートルの滑走路が必要で、離着陸は空港でのみに制限されるからだ。

 発明家たちはすでに100年以上にわたって自動車と飛行機を合体させようと試作を重ねてきた。すでにいくつかの企業が「空飛ぶ車」を世界で初めて市場に投入するべく開発競争に参加している。米航空機ベンチャー、テラフジア(Terrafugia)は2日、道路を合法的に走行できる独自開発した航空機「トランジション(Transition)」の試験飛行に成功したと発表している。(c)AFP

【動画】
空を飛ぶPAL-V(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)

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