【3月30日 AFP】ロシアのインターネット上でこのところ最も熱い話題といえば、米国との新たな軍拡競争でもシリア問題でもなく、ドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)大統領の愛猫ドロフェイ(Dorofey)の行方だ。

 ロシアで「ドロフェイが失踪した」と28日に報道されて以来、ロシアのSNSユーザーたちはこぞってドロフェイの行方に関する臆測をネットに書き込んだ。だが、メドベージェフ大統領自身が同日、「ドロフェイは行方不明ではない」とツイッター(Twitter)上で明かした。「ドロフェイに近い筋から、彼は失踪していないと連絡がありました。皆さんが(ドロフェイの身を)心配してくださったことに感謝します」

 ドロフェイは2008年、メドベージェフ氏とともにモスクワ(Moscow)郊外ゴルキ(Gorki)の大統領別邸にやってきた。サイベリアンという種類のネコで、ロシアメディアによるとスベトラナ(Svetlana Medvedeva)夫人に拾われたという。ドロフェイの名は、ギリシャ語の男性名ドロテウス(Dorotheos、「神からの贈り物」という意味)から付けられたものだ。

 失踪報道後、ドロフェイの名をかたるツイッターアカウントが少なくとも2つ登場し、「現在の居場所」や「抗議行動に参加する決意」などが書き込まれた。中には「もう政治にはうんざりだ!」「家族と子どもが欲しい!」と叫ぶ偽ドロフェイのツイートも。

 飼い主であるメドベージェフ大統領が退任する5月を前に、クレムリンから逃げ出したのだとからかう書き込みも見られた。一方、「ドロフェイが失踪したなんて馬鹿げた話だ。プーチンが命を狙われたというのと同じだ。ロシアの首脳にも人情があると思わせたいだけだ」と、大統領選前に流れたプーチン氏の暗殺が計画あったとの臆測を引き合いに出して、ドロフェイ騒動を批判する書き込みもある。

 ドロフェイ失踪をめぐっては、ゴルキを管轄する警察が元来の職務を離れてドルフェイの捜索に追われたとの報道もあったが、警察はこれを否定している。

 メドベージェフ大統領は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)首相の大統領選勝利で退任が決まってからというもの、台頭するロシアのブログコミュニティの容赦ないからかいの対象になっている。(c)AFP