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台湾の人びとの心とらえる桜と日本文化

2012年3月27日 12:02 発信地:台北/台湾

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台湾の人びとの心とらえる桜と日本文化
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台湾・新北(New Taipei)の寺院で、桜を背景に着物姿で写真を撮影する台湾の女性(2012年3月15日撮影)。(c)AFP/Sam YEH
【3月27日 AFP】台湾人は桜の花が大好きだ。言うなれば、台湾の人びとは日本の物なら、ほとんど何でも好きなのだ。かつて台湾を50年にわたって統治し、ときに圧政を敷いたにも関わらず、日本は非常に好意的な印象を台湾に残した。

 桜は旧植民地に現在も残る日本の「ソフトパワー」の勝利といえるかもしれない。台湾でも毎春、大勢の人々が桜の花を楽しむ。その姿は日本で見られるものと同じだ。

「桜の花を見ると、まるで日本にいるような気持ちになる」。台北(Taipei)郊外の北投(Beitou)区で白やピンクの桜が咲き誇る丘を歩きながら、スーザン・ウーさん(50)は語った。

 花見の習慣は、この2~3年で特に人気が急増。台湾の人々は激しい交通渋滞にとらわれる危険をおかしてでも、郊外の花見スポットに殺到している。

 花見客の間で特に人気が高いのが北投の山々だ。北投では、区当局が桜の植林を呼び掛け400世帯が桜を植えたことから、桜の名所となった。桜並木地区を担当する当局者は、「以前はあまり知られた場所ではなかったが、桜との関連で今は有名になった」と語る。

 こうした桜の流行を、他の自治体も見逃してはいない。

 台北郊外の三芝(Sanchih)では、農家に助成金を出して桜の植林を奨励。今では年間60万本の桜の木を市場に供給している。三芝農協の職員によれば「多くの桜農家が桜人気の恩恵に預かっている」という。

■植民地時代に持ち込まれた日本文化

 日本文化を象徴する桜への愛着について、台湾における日本文化の絶大な影響力を示すものだと、専門家らは指摘する。

「日本の影響力はとても大きい。その範囲も、インフラから人びとの考え方や態度まで幅広い」と、国立台北教育大学(National Taipei University of Education)の李筱峰(Lee Shiao-feng)教授は語る。

 1895年、日清戦争で日本に敗れた清朝は台湾を日本に割譲した。以降、第二次世界大戦で日本が敗戦する1945年まで、台湾は日本の統治下に置かれた。

 日本統治の初期にあたる20世紀初めごろには、台湾各地で激しい抵抗が発生。日本も厳しい弾圧で臨んだ。しかし、その後、軍政から民政統治に移行すると日本は積極的に台湾の経済開発を推進する。台湾南北をつなぐ鉄道を敷設し、港や発電所を建設。伝染病の駆逐に務め、識字率を大幅に高めた。また野球など日本文化や習慣を台湾に伝えた。

 李教授は「日本の開発計画が、近代前の社会入りする台湾の基礎を築いた」と指摘する。「その過程で、台湾の人びとは統治側の人々の習慣を真似ながら、徐々に野球を覚え、桜を愛で、温泉を楽しむようになった」

■愛着はあっても真の理解は難しい

 李教授によれば、日本の影響は1945年以降も、ほとんど衰えることなく台湾に生き続けている。今では台湾の若い世代が日本のドラマやポップス、観光地やレストランを紹介するテレビ番組を楽しみ、日本文化を受け入れている。

 こうした現象は朝鮮半島と完全に異なる。1910年から45年まで日本統治下にあった朝鮮半島(現韓国・北朝鮮)では、日章旗のもとでの日々がいかに残忍で過酷だったかの記憶が、現在も語り継がれている。

 日本は朝鮮半島にも桜の木を持ち込んだ。花見の文化は韓国でも受け入れられているが、日本時代の桜は現地産のものに植え替えられた。台湾と韓国の違いは明白だ。

 だが研究者たちも、日本文化において桜が持つ哲学的な含意を、台湾の桜愛好家たちが会得するには、まだ時間がかかるだろうと指摘する。

 「台湾人が桜を楽しむとき、彼らは単に花の美しさを堪能しているだけだ」と、台北の淡江大学(Tamkang University)日本語文学部の馬耀輝(Maa Yaw-huei)学部長は言う。「だが、日本人の目には、桜のはかない美しさの中に哀しみの感覚が見えている。あれほど美しい花が散っていくのを眺めながら、死を思い起こしてもいるのだ」

 台湾の人びとが日本人のように振る舞うことはあっても、日本人のように思考することはないだろうと指摘する声もある。

 300年以上も前に初めて台湾に持ち込まれた中国文化は、日本が台湾の人びとを「日本人化」する皇民化政策を行った植民地時代にも台湾で生き残った。「日本は台湾に新たな文化の要素を加えた。だが、中国文化の骨格が損なわれることはないだろう」と李教授は語った。

(c)AFP/Benjamin Yeh
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