【3月20日 AFP】米非営利調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)のメディア調査部門PEJProject for Excellence in Journalism)は19日、モバイル機器の普及やソーシャルネットワークの影響によってニュースの読者が増えている一方で、ニュースメディア各社の収益は伸び悩んでいるとする報告書を発表した。

 ニュースメディアについての年次報告書「State of the News Media」の2012年版では、ニュース業界は1年前と比べて新しい収益モデルの構築に近づいたとは言えず、IT業界のライバル企業に水を開けられていると指摘。その一方で、ニュースが一般の人の生活の中でより大きな部分を占めつつあることを示すデータもあり、このことがジャーナリズムの未来を救うかもしれないと説明している。

 報告書によると、米国人の約27%はモバイル機器を利用してニュースを読んでおり、これらモバイル利用者の多くが、検索サービスなどを経由するのではなく、アプリやウェブページによってニュースの配信元に直接アクセスする傾向があるという。そのため利用者とニュース配信企業とのつながりが強まっているという。

 フェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)などのソーシャルメディアを経由してニュースサイトを訪問する人は現状では全体の約9%にとどまっているが、その数は増加を続けており、2009年以降で50%以上も増えた。一方で、グーグル(Google)などのサーチエンジンからニュースサイトを訪れた人は約21%で、2009年の23%から減少した。

 印刷媒体およびその広告収入が減少している中、約100社もの米国の新聞がなんらかの形で有料のオンライン配信を数か月以内に導入することを検討しているという。既にニューヨーク・タイムズ(New York Times)を含む約150社がネット上のコンテンツを有料で提供している。

 2010年に9%近く減少した大手ニュース雑誌6誌の発行部数は、横ばいを維持した。2011年はローカル、ケーブル、全国ネット全てでテレビニュース番組の視聴者が増加した。5%増となった全国ネットは、過去10年間で初めて増加を記録した。(c)AFP/Chris Lefkow