【3月1日 AFP】スマートフォン(多機能携帯電話)全盛のネットワーク社会において、バッテリー切れは悪夢だ。スペイン・バルセロナ(Barcelona)で開催中の世界最大の携帯電話見本市「2012モバイル・ワールド・コングレス(Mobile World CongressMWC)」では、この悪夢を防ぐための斬新かつユニークな充電方法が幾つか提案されている。

■スプーン1杯の水でiPhoneフル充電

「携帯電話の蓄電量と、使用電力量の差は広がる一方だ。以前より頻繁にチャージが必要になっているが、誰も壁にへばりつきたくはないでしょう」と語るのは、スウェーデンの小型燃料電池メーカー「myFC」のビョルン・べステルホルム(Bjorn Westerholm)社長だ。

 同社が考案したのは、スプーン1杯の水だけで米アップル(Apple)の人気スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」のフルチャージができるという燃料電池用ポータブル充電器「PowerTrekk(パワートレック)」。コンパクトカメラよりも若干大きいサイズで、キャンプや援助活動、軍隊など屋外での利用に活躍しそうだ。

 使用する水は「海水でも真水でも構わない。どこへ行くにしても水は必要で、必ず持っていくでしょう。そのうちのスプーン1杯分だけでいいんです」とべステルホルム社長は言う。「アウトドアで何時間でもフェイスブック(Facebook)や電子メールができますよ」

■電源オフで15年もつ!?

 一方、米カリフォルニア(Californian)を拠点とするポータブル電源メーカー「XPAL Power」は、バッテリーの充電が最長15年間もつという触れ込みの携帯電話「Spareone(スペアワン)」を発表した。この3月に発売する。

「電源オフ状態ならば最長15年、電源オン状態でも2か月はもつ」と同社のクリスチャン・シェダー(Christian Scheder)会長。「緊急時や災害被災地で威力を発揮する」と自信を見せる。

■外食中もスタジアム観戦中も充電

 米電池メーカー大手のデュラセル(Duracell)は、自動車内に備え付けられる充電システム「Powermat(パワーマット)」で対抗する。小型のタブレット端末のような板状充電器で、電源に接続して使い、一度に携帯電話2台を充電できる。しかし同社のスタッシ・アナスタソフ(Stassi Anastassov)社長は、これはまだ序の口だと語る。

 現在、このマットを使って充電するには専用の携帯電話保護カバーが必要だ。そこで同社では携帯電話メーカーに対し、このマット向けのチップ用スロットを設計するか、チップ本体を携帯電話に内蔵するよう、今回の見本市で掛け合おうともくろんでいる。ゆくゆくはファストフード店のテーブルやスタジアムの座席など、公共スペースへの備え付けを目指す。

 既に米自動車大手ゼネラル・モーターズ(General Motors、GM)と2013年から全車種に装備する方針で合意している他、米ニューヨーク(New York)のマディソンスクエアガーデン(Madison Square Garden)ではバーの卓上への設置から試用を開始することが決まっている。(c)AFP/Hui Min Neo

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