【2月24日 AFP】インドネシア・バリ(Bali)島にあるクロボカン(Kerobokan)刑務所で受刑者らの暴動が起き、鎮圧に当たった警官隊との衝突に発展している。インドネシア当局は23日、同刑務所内の外国人受刑者の避難を開始したが、24日になって一旦避難させた受刑者13人を同刑務所に戻した。受刑者側の要請があったためという。

 暴動が起きたクロボカン刑務所は、観光客で賑わうクタ(Kuta)ビーチからわずか数キロの場所にある。19日に受刑者同士のトラブルで1人が刺されたことをきっかけに暴動が発生し、刑務官らも退去せざるを得ないほど激化した。受刑者らは放火や投石などを続け、22日明け方になって警官隊が所内に突入。一時鎮圧されたものの、同日夜に再び受刑者らが刑務所を占拠した。

 同刑務所には、定員の3倍にあたる1105人の受刑者が収監されており、環境の劣悪さに受刑者らの不満が高まっていたという。

 インドネシア当局は、麻薬密売で有罪となったオーストラリア人12人など同刑務所の外国人受刑者60人を避難させることを決め、23日夕刻に避難を開始した。しかし当局者が24日にAFPに匿名で明らかにしたところによると、23日夜にバスで移動させた13人の受刑者らが別の刑務所への移動を拒否したため、元いた施設に戻したという。

 24日現在、刑務所の周囲は放水車や重装備の警官隊が取り囲んでおり、当局が受刑者らの説得を試みている模様だ。

 クロボカン刑務所は、インドネシアでも悪名高い刑務所の1つ。殺人、性犯罪などの重罪犯を含む様々な犯罪の受刑者を収監しており、近年は暴動が相次いでいた。前年6月にも警察の麻薬摘発を機に暴動が起きているが、同刑務所の職員によると、これほど大規模な暴動は過去5年間で前例がないという。(c)AFP/Presi Mandari