【2月23日 AFP】素粒子ニュートリノは光より高速で動くという、前年9月に発表された実験結果は、実験装置の接続不良による誤りだった可能性が出ている。ニュートリノに関する国際共同実験「OPERA(オペラ)」の研究グループに近い筋の情報として、米科学誌サイエンス(Science)の速報サイト「サイエンス・インサイダー(Science Insider)」が22日、伝えた。

 研究グループは9月、スイスの欧州合同原子核研究所(European Organisation for Nuclear ResearchCERN)から730キロ離れたイタリアのグランサッソ国立研究所(Gran Sasso Laboratory)へニュートリノを発射し、速度を測定する実験を実施した。その結果、光速が2.3ミリ秒だったのに対し、ニュートリノはそれよりも60ナノ秒早く到着したと発表していた。

 しかし「サイエンス・インサイダー」によると、このときの「60ナノ秒」分の差は、ニュートリノの飛行を調整する衛星利用測位システム(GPS)受信機と、コンピューターの電子カードをつなぐ光ファイバーケーブルの接続に緩みがあったために生じたとみられる。ケーブルの緩みをなくし、再接続してニュートリノの速度を計算し直したところ、前回の計測結果とのずれはちょうど60ナノ秒だった。

 ニュートリノの速度が光速を超えたとの発表については、これが正しければ、立証から100年以上も不動とされてきたアインシュタイン(Albert Einstein)の相対性理論と矛盾するとして、科学界でも当初から疑問の声が上がっていた。(c)AFP

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