【2月20日 AFP】旧ソビエト連邦のラトビアで18日、ロシア語を「第2公用語」とする憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、反対75%で否決された。

 圧倒的な反対多数による否決で、多数派のラトビア人と少数派のロシア系住民との間の溝が浮き彫りになった形だ。同国指導者らは19日、民族的分裂を緩和する努力を呼びかけた。

 今回の国民投票は、ロシア系の活動家らの働きかけで行われた。投票率は70%と、国民投票としては史上最高を記録。2011年の国勢調査ではラトビアの人口200万人強のうち27%がロシア系住民で、賛成25%、反対75%という結果は同国の民族比を反映している。

 アンドリス・ベルズィンシュ(Andris Berzins)大統領は、「ラトビア市民の圧倒的多数が、憲法の核となる価値の1つである公用語について、明確な支持を表明した」と述べた上で、「国民投票は始まりでも、終わりでもない。国民全てにとって重要な課題であり、教訓だ」とコメント。今こそ「真剣な議論」が必要だと呼びかけた。

 一方、国民投票を呼びかけた団体「母国語」を率いるロシア語活動家は、目的は達せられたと表明。「次は、ロシア系住民のコミュニティーと対話する用意が人々にあるかを確かめる番だ。この国でロシア語が外国語ではないことを、われわれは示した」とラトビアのテレビ局に語った。

■ラトビア語は「自由の象徴」

 第2次世界大戦(World War II)中にソ連に併合されたラトビアでは、数万人のラトビア人たちがシベリア送りとなり、代わりにロシア人たちが同国に入植した歴史を持つ。旧ソ連時代の移住者を中心とするロシア系住民は、これまでも言語差別があると訴えて運動を行ってきた。

 だが、ラトビア人の多くはラトビア語を自由の象徴とみなしており、ロシア語公用化に強く反発している。(c)AFP/Mike Collier