【2月15日 AFP】バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領と訪米中の習近平(Xi Jinping)中国国家副主席が14日、ワシントンD.C.(Washington D.C.)のホワイトハウスで初めて会談した。

 中国の次期国家主席と目されている習副主席を大統領執務室(Oval Office)に迎えたオバマ大統領は、中国が20年間で目覚しい発展を遂げたことをたたえ、米国は中国の繁栄を歓迎すると述べた一方で、国力の拡大には「一層の責任が伴う」と強調した。

 さらにオバマ大統領は人権問題にも触れ、「全ての人がその願望と権利を実現することは重要だと米国は信じており、引き続きこの点を強調していく」と語った。また、貿易問題について中国は世界経済の中で「世界共通のルール」に従うべきだと述べたうえで、中国とは良好な協力関係を築きたいとの希望を語った。

■人権問題で従来の主張繰り返す

 習副主席はオバマ大統領との会談後、国務省での昼食会に臨んだ。この席でジョー・バイデン(Joe Biden)米副大統領は、シリア政府に反体制派への弾圧停止を求める国連(UN)安保理の決議案に中国がロシアとともに拒否権を行使したことや中国での一連の人権侵害を厳しく批判した。

 これに対し、習副主席は「中国が人権状況の改善で大きな成果を挙げていることはよく知られている」と反論したうえで、「改善の余地は常にある」と付け加えた。中国の人権問題をめぐっては、胡錦濤(Hu Jintao)国家主席も前年の訪米時に同様の考えを示し、人権に関して中国と欧米の概念は異なり、その国ごとの特性も考慮するべきだと語っている。

■礼砲19発 異例の待遇

 今秋の党大会を経て来年には国家主席の座を胡主席から引継ぎ、その後10年間、最高指導者として中国を率いることが確実視されている習副主席の訪米にあたって、米政府は数か月前から準備を進めてきた。今後も中国は目覚しい速度で発展を続けると見られているためだ。

 その一方で11月に大統領選が控える米国で、中国の問題、特に米中間の経済問題に批判が集まっている。多くの米議員が、中国は人民元の為替相場を不当に安い水準に維持して輸出を増やし、工業大国になったとしている。

 この問題について習副主席は、国務省での昼食会で「米中両国は経済や貿易に関する互いの懸念事項を、保護貿易ではなく、対話や協議の場で主張すべきだ」と述べ、経済関係と貿易における米中互恵関係の維持の重要性を訴えた。

 ワシントンD.C.市内では習副主席が訪問した先々で、チベット支援団体や人権団体のメンバーらが抗議行動を展開したが、国防総省での歓迎式典では19発の礼砲が発射されるという異例の待遇がとられた。(c)AFP/Stephen Collinson and Shaun Tandon