【1月27日 AFP】1日11時間以上働く英国の公務員のうつ病リスクは、1日7~8時間働く同僚の2倍以上だとする論文が、25日の米科学誌「プロスワン(PLoS ONE)」(電子版)に発表された。

 フィンランド労働衛生研究所(Finnish Institute of Occupational Health)のマリアンナ・ヴィルタネン(Marianna Virtanen)氏とロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)が主導したこの研究は、うつ病の病歴や心理的なリスク要因がない英国の公務員2100人以上を、平均で6年近くにわたって追跡調査した。

 すると、1日の労働時間が11時間だった人が重いうつ病を発症する確率は、7~8時間の人の2.3~2.5倍だった。飲酒やドラッグの使用、社会的支援の有無、仕事の負担といった諸要素を考慮に入れても、長時間労働とうつ病の関係は変わらなかった。

 論文はその理由について、仕事と家族の板挟み、ストレスホルモン濃度が高い状態が続くこと、仕事の後にひと息つく時間がないことなどの可能性を挙げた。ヴィルタネン氏は、「たまにする残業は本人と社会にとって有益かもしれないが、残業が重いうつ病リスクの上昇と関係していることも知っておく必要がある」と指摘した。

 残業とうつ病の関係が肉体労働者や民間企業の従業員にも存在するのかを見るため、さらに大きなサンプル集団で調査を行う必要があると論文は述べている。

 ちなみに一般人口におけるうつ病の発症率は5%だが、今回の調査でうつ病を発症した人は66人、全体の3.1%に過ぎなかった。(c)AFP