【1月17日 AFP】15日の第69回ゴールデン・グローブ賞(Golden Globe Awards)授賞式でミュージカル・コメディー部門の作品賞を受賞した映画『アーティスト(The Artist)』。この作品に出演し、同授賞式でも登壇し話題をさらった犬のアギー(Uggie)君を、アカデミー賞(Academy Awards)にノミネートさせようという動きが起こっている。

 同作品は、サイレント映画の大スターながらもトーキー映画の到来でキャリアに暗雲の立ちこめる俳優の物語で、9歳のアギー君は主人公の愛犬を演じている。サイレント映画なのでその声を聞くことはできないが、死んだふりをしたり、後ろ足で歩いたり、前足で頭を隠したりするなどの演技を見せている。

 昨年5月のカンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)では、パルム・ドッグ(Palm Dog)賞を受賞した。

■SNSを中心にしたキャンペーン

 フェイスブック(Facebook)やツイッター(Twitter)では、「Consider Uggie(アギーを考慮に入れよう)」というキャンペーンが起こっており、24日に発表されるアカデミー賞ノミネートにアギー君を加えようという声が上がっている。

 これまで『恋人たちのパレード(Water for Elephants)』や『Mr. Fix It』にも出演しているアギー君は、カリフォルニア(California)州生まれ。動物保護施設で悲しい運命を辿ろうとしていたが、トレーナーに命を救われ現在に至っている。インターネットでは、アギー君がスケートボードや水上スキーを楽しむ映像も公開されている。

 15日の授賞式では、ミシェル・アザナヴィシウス(Michel Hazanavicius)監督らとともに登壇したが、コメントすることはなかった。

 英BBCは先週、映画のPRのため英国を訪れていたアギー君にインタビューを行った。自分が演技をしているという認識はあるかという質問にアギー君は1回吠えただけだったが、アギー君のトレーナーは、アギー君が餌のためだけにやっているというのは間違いだと語った。

「アギーは本物の役者だ。他の人が何と言おうと気にならない。私の知っている誰よりも、アギーはオスカーにふさわしい」

■反対意見も

 だがもちろん、こういった動きに反対する声もある。

 16日付けの英紙インディペンデント(Independent)には、「動物にオスカーを与えるとは、ひどい考えだ」という見出しで冗談めかした論説が載った。「オスカー受賞者は、自分たちをスターダムへ押し上げてくれたすべての素晴らしい人々に感謝を述べる長ったらしい受賞スピーチで、むせび泣くことになっている。この大事なスキルを習得し披露することができなければ、動物へオスカーを授与する正当性が認められたとはいえない」

 映画『アーティスト』は、アカデミー賞作品賞の有力候補とされている。(c)AFP/Rory Mulholland

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