【1月10日 AFP】南米エクアドルのガラパゴス諸島(Galapagos Islands)で、150年前に絶滅したと考えられていたゾウガメの一種「ケロノイディス・エレファントプス(Chelonoidis elephantopus)」が現存している可能性があるとした米エール大(Yale University)の研究チームによる論文が、10日の米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に発表された。

 ケロノイディス・エレファントプスは体重が最大400キロにもなる巨大なカメで、野生では100歳程度まで生きる。ガラパゴス諸島のフロレアナ島(Floreana Island)だけに生息することが知られていたが、1835年に進化論の父チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)が上陸してから、ほどなく絶滅したと考えられてきた。

 研究チームは今回、同諸島のイサベラ島(Isabella Island)で近縁種ベックゾウガメ2000頭のDNAを採取。これを分析した結果、84頭の祖先がベックゾウガメとケロノイディス・エレファントプスの交雑種だったことが明らかになった。

 ケロノイディス・エレファントプスは陸地にのみ生息する。このため、人間が船を使って、このゾウガメを諸島内で運搬していた可能性があるという。

■絶えていなかった純血種

 さらに、研究チームが84頭のDNAサンプルを博物館に保管されている純血種のものと比較したところ、両親の片方がケロノイディス・エレファントプスだと仮定しなければ説明がつかないことが明らかになった。

 84頭のうち30頭は15歳未満で、このことは一部の交雑が比較的、最近に行われたことを示している。

 DNAサンプルの遺伝的多様性も考慮すると、最低でも38頭が純血種のケロノイディス・エレファントプスである可能性が浮上した。

 研究者は、これらの純血種の生息地が特定できれば、計画的な繁殖によってケロノイディス・エレファントプスの個体数を回復できる見込みがあると話している。
 
 研究チームによると、純血種の子孫のDNAサンプルを分析して絶滅種の現存が確認されたのは初めてだという。(c)AFP