【1月3日 AFP】250ワットの電球に照らされたおじの庭で、ヒラリー・ツリャムグミャ(Hilary Turyamugumya)さん(33)は夜空を見つめている。探しているのは、バッタだ。

 羽をちぎってタマネギと炒めたバッタは、ウガンダ中部のごちそうだ。首都カンパラ(Kampala)周辺のバーでは、客たちがひとつかみほどの量をむしゃむしゃと食べ、ビールで胃に流し込んでいる。

 この時期は1年のなかでバッタ猟の最盛期にあたる。ツリャムグミャさんは電球の光でバッタを誘い出し、煙をたいて混乱させ、使われなくなったドラム缶にバッタを閉じ込める。だが、今年の猟は厳しいという。

「問題は電気がついたり消えたりしていること。昨晩などは一晩中停電だった」と、ツリャムグミャさんは語る。「毎晩、まず電気が来ていますようにと祈り、次にバッタが来ますようにと祈るんだ」

■電力不足でバッタ価格が高騰

 この数か月、ウガンダは電力不足に苦しんでいる。増加する電力需要と政府の資金不足が重なって、ウガンダの一部地域では停電が数日間続くこともある。

 電力がなければ照明を使えず、バッタを取ることもできない。今季、ツリャムグミャさんの収入は前季の半分程度になりそうだ。「バッタが足りない状態だよ。採集人にとってもバッタ売りにとっても問題になっている」と、ツリャムグミャさん。

 バッタを入れたプラスチックのバケツを手に、首都郊外のカバラガラ(Kabalagala)のバーが集まる街を行ったり来たりするバッタ販売業のアンドリュー・ツムラメ(Andrew Tumulamye)さん(18)も同じ意見だ。電力不足でバッタの仕入れ価格が上がり、バーでの提供価格も上がった。一番小さな袋で45セント(約35円)程度と、これまでの2倍の高さだ。

■今年稼動の水力発電に期待

 しかし、たとえ価格が高騰しても、ウガンダ国民の多くは、バッタ炒めの魅力にあらがえない。

 バー店主のアシャ・カルティエ(Asha Cartier)さんは、口いっぱいにほおばったバッタをウォッカで流し込むと、「タンパク質を多く含み、エビみたいな特別な味がする。シーフードみたいなもんさ。頭の部分を見てくれ。ここが一番好きなんだ」と語った。

 ウガンダのシモン・ドゥジャンガ(Simon D'ujanga)エネルギー相は、ここ数か月、燃料価格上昇と自国通貨安によって政府はディーゼル発電の費用を支払えなくなり、ウガンダは電力不足に陥っていると説明する。

 だがドゥジャンガ氏によれば状況は好転している。2012年初頭には新たな水力発電所が稼働を開始する。「未来は明るい。だが当面は現状に耐えなければならない」と、ドゥジャンガ氏はAFPに語った。(c)AFP/Max Delany