【12月22日 AFP】野生のトウガラシで、辛い実を付ける株と付けない株がある謎を解く鍵は水分にあったという研究結果が、21日の学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に発表された。

 トウガラシに含まれる辛味成分カプサイシノイドは、トウガラシの「天敵」といえる菌類フサリウムから実を守るためにトウガラシが発散しているものだ。フサリウムは水分を好む。

 米インディアナ大(Indiana University)のデービッド・ハーク(David Haak)氏率いる研究チームは、南米原産の野生トウガラシ「カプシカム・チャコエンセ」のカプサイシノイドのレベルを、ボリビアの300キロのルートに沿って調査した。

 調査ルート北東部のより乾燥した地域では、辛い実を付けるトウガラシは全体の15~20%に過ぎなかった。ところがルート南西部のより湿度の高い地域へ行くにつれ、辛い実を付ける割合が増え、最終的には100%のトウガラシが辛い実となった。

 実は、辛い実を付けるトウガラシは進化生物学上の犠牲を払っている。身を滅ぼす菌を寄せ付けない代わりに、マイルドな実を付ける株の半分程度しか実らないのだ。トウガラシに関しては、乾燥地に育つ辛くない実の株の方が子孫を残すチャンスが多いといえる。(c)AFP