【12月21日 AFP】イラク当局は19日、タリク・ハシミ(Tareq al-Hashemi)副大統領に対し、爆弾テロなどに関与した容疑で逮捕状を出した。ハシミ副大統領は20日に記者会見を開き、容疑を真っ向から否定した。

 イラクは挙国一致政権の発足から21日で1年を迎えるが、18日に駐留米軍の撤退が完了したばかりで、宗派間対立を内包した脆弱(ぜいじゃく)な連立政権のほころびが早くも表面化した。

 ハシミ副大統領が属する世俗派の政党連合「イラキーヤ(Iraqiya、イラク国民運動)」は逮捕状発行に反発し、閣議をボイコットする構えだ。

 ハシミ副大統領の周辺では、この数週間で少なくとも13人のボディガードが当局に一時身柄を拘束された。ハシミ氏側によると、このうち逮捕されたのは3人。国営テレビでは、内務省がハシミ氏のボディガードだとする人物がテロ計画を自供し、ハシミ氏の援助と資金を得ていたと語る映像が放映された。

 しかしクルド自治区アルビル(Arbil)で会見したハシミ氏は、この映像について「政治的にねつ造された」ものだと非難し、自己のテロ関与を一切否定するとともに、アラブ連盟(Arab League)首脳らに問題とされたテロの捜査への介入を求めた。また、ボディガードの自供についても、政治的な陰謀に基づく虚偽の自供だと語った。

 会見以前にハシミ氏側は、ボディーガード拘束の件に加え、治安部隊がハシミ氏の自邸前を数週間にわたって封鎖するなど「意図的な嫌がらせ」を受け続けているとしてマリキ政権を批判している。 

 前週末には、ハシミ氏と同様にイラキーヤ内部のスンニ派であるサレハ・ムトラク(Saleh al-Mutlak)副首相が、シーア派のヌーリ・マリキ(Nuri al-Maliki)首相率いる連立内閣を「独裁」と呼んだことで、マリキ首相がムトラク氏に辞任を求めた。この時点ですでにイラキーヤは、連立から離脱はしないものの、閣議をボイコットする構えを示していた。

 こうしたイラク政権の内紛について米政府は、ジェームズ・ジェフリー(James Jeffrey)駐イラク大使がイラクの指導者たちと会見し、懸念を伝えた。しかしマリキ首相は、ハシミ副大統領の逮捕状を取り下げるための仲裁は、一切受け付けないと断言している。(c)AFP/Mohamad Ali Harissi