【12月9日 AFP】(一部更新)イラン政府は8日、米軍の無人偵察機がイラン東部の領空「深く」まで侵入したと主張している問題で米政府に正式に抗議するとともに、前週撃墜した「RQ-170」だとする映像を国営テレビで公開した。

 イラン国営テレビのウェブサイトによるとイラン外務省は、同国での米権益を代行する在イラン・スイス大使館のリビア・ルー・アゴスティ(Livia Leu Agosti)大使を呼び、領空侵犯は米国がイランに対する「挑発と諜報行為」を強化していることを示唆するものだとして、正式に抗議を伝えた。現在、イランと米国の間には国交がないため、テヘラン(Tehran)のスイス大使館が米国の利益代表部を務めている。

  「RQ-170センチネル(RQ-170 Sentinel)」は、米航空宇宙大手ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)製の高高度ステルス無人偵察機で、その存在は2009年まで明らかになっていなかった。米空軍は2010年になってその存在を認めた。

■イランの電子戦部隊が着陸させた?

 イラク国営テレビは8日夕、革命防衛隊の防空幹部2人がこのクリーム色の無人機を調べる姿を放送した。機体の外観は「RQ-170」そっくりで、目だった損傷はほとんどみられなかった。

 機体を調べた1人、アミール・アリ・ハジザデ(Amir-Ali Hajizadeh)革命防衛隊空軍司令官は、この無人機は革命防衛隊の電子戦部隊のわなにかかり、サイバー攻撃によってほとんど無傷で着陸させられたと述べるとともに、イランの専門家はこの機体からどれほど貴重な情報が得られるか、よく理解していると語った。

 米国では、この無人機から獲得した先端技術をイランが利用するのではないかとの懸念が出ていると報じられている。しかしある匿名の米当局者は7日、イランには無人機から得た情報を活用できるほどの技術力はないだろうと米政府は考えていると述べた。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は、イランの核開発との関連が疑われる施設の位置の調査にステルス偵察機がよく使われており、今回の無人機もその1機だったのではないかと報じている。(c)AFP/Mohammad Davari

【動画】国営テレビで公開された映像(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)
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