【11月12日 AFP】国際原子力機関(IAEA)は11日、チェコなど欧州各国の大気からごく微量の放射性ヨウ素131が検出されたと発表した。健康に影響はないとしている。

 IAEAによると、最近チェコの大気からごく微量の放射性ヨウ素131が検出されたと、チェコ当局から報告があった。IAEAでは他の国名は出していないが、「ヨーロッパ各地の他の場所でも似た測定値が出ていると承知している。公衆衛生にリスクを与えるレベルではなく、また日本の福島第1原子力発電所の事故によるものではないと考える」と発表した。

 IAEAでは放射性ヨウ素131の発生源を突き止めるために、各国の関係機関と共同で調査を行っており、さらに情報が入り次第発表するとしている。放射性ヨウ素131の半減期は約8日間。

 チェコの原子力安全局(State Office for Nuclear SafetySUJB)によると、過去2週間、大気から微量のヨウ素131が検出されていた。

 これまでのところヨウ素の発生源は分かっていない。チェコには2か所の原発があるが、原子力安全局は「ヨウ素以外に人工の放射線核種が検出されていないため、原発の事故によるものではないと考えられる」としている。

■パキスタンで原発事故との未確認情報――ポーランド当局者

 国内に原発はないポーランドの原子力機関の報道官はAFPの取材に「ポーランド国内で10月17日~24日に行った測定で微量の放射性ヨウ素131が検出された。きわめて微量だ。計測値は福島の原発事故後の3月下旬のほうが、100倍高かった」と答え、ウクライナでも10月10~20日に微量の放射性 ヨウ素が検出されたと述べた。

 さらにこの報道官は「パキスタンで原発事故が起きたことを示唆する情報もあるが、まだ確認されておらず調査が必要だ」と述べた。IAEAの報道官はそうした事故に関する情報は届いていないとしている。

 パキスタン当局の報告によると、運転開始から40年近く経つ同国のカラチ原子力発電所(KANUPP)で10月19日に重水が漏れる事故が発生していた。

 チェコの他にスロバキアやオーストリアが、チェコと同程度の「微量」の放射性ヨウ素131を検出したと発表している。一方、ブルガリアの原子力当局は、大気のサンプルは通常通りで、大気から放射性ヨウ素131は検出されていないと発表した。(c)AFP