【11月7日 AFP】世界中のイスラム教徒が6日、聖地メッカ(Mecca)に巡礼する大巡礼「ハッジ(Hajj)」の最後を飾る犠牲祭「イード・アル・アドハ(Eid al-Adha)」を迎えた。サウジアラビアの聖地ミナ(Mina)近郊には、約300万人が集まり、悪魔を表す石柱に向かって投石を行った。ハッジ中で最も危険な儀式だ。

 投石の儀式では、悪魔を表す巨大な柱に多数の信者が殺到するため、過去にも死亡事故が相次いでいる。1990年には1426人、2004年には251人、2006年には364人が転倒事故で死亡。サウジアラビア当局は事故防止のため、施設に複数層の通路を設置した。

 サウジアラビア当局の公式統計によると、今年のハッジには293万人が参加。国外からは183万人が訪れているという。これまでのところ、巡礼者を巻き込んだ大規模な事故は報告されていない。

■投石の儀式

 犠牲祭の3日間、巡礼者は毎日、25メートルの柱3本に、それぞれ7つの小石を投げなければならない。

 「この儀式は精神力を与えてくれる。悪魔を打ち負かした気分だ」と、Mokhtar Khanさん(29)は語った。Khanさんは、「神は偉大なり(Allahu Akbar)」と声をあわせるバングラデシュの仲間数十人とともに巡礼地を訪れた。

 また、エジプトのMohammed Husseininさん(25)は、「最大の敵、悪魔に投石して気分が良くなった」と語った。

■いけにえ

 投石前、巡礼者たちは、神の命令に基づいて我が子をいけにえに捧げようとした預言者アブラハム(Abraham)を称え、ヒツジなどを殺して犠牲祭のいけにえとする。

 巡礼者の大半は、自ら動物を殺すことはせず、サウジアラビア当局の販売する証書を購入する。サウジアラビア当局はこの資金で、国外の貧しいイスラム教徒たちに、支援物資として肉を送っている。

 投石後、巡礼者たちはメッカの大モスクを訪れ、イスラム教で最も神聖な遺物ブラック・ストーンが収められたカーバ(Kaaba)神殿に別れを告げる訪問をする。

 ハッジはイスラム教の5つの信仰行為「五行」の1つで、巡礼が可能な者であれば少なくとも人生のうちに1度は行わなければならないとされている。(c)AFP/Abdel Hadi al-Habtoor