【10月28日 AFP】小惑星ルテティア(21 Lutetia)は惑星誕生の前段階に存在する微惑星である可能性が示されたとする3本の論文が、27日の米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)の彗星(すいせい)探査機「ロゼッタ(Rosetta)」が前年、ルテティアをフライバイ(接近通過)した際に採取したデータを分析したところ、次のような事実が明らかになったという。

 じゃがいものような形をしたルテティアの大きさは101キロ×121キロ×75キロ。表面はでこぼこしていて小さなクレーターが各所にあり、直径55キロの大きなクレーターもあった。山のように連なった出っ張りや断崖、比較的最近にできたとみられる滑らかな平原もあった。

 氷や水の痕跡は見当たらず、過去に熱せられたことがあると推定される。また、宇宙の厳しい環境においても「風化」は見られなかった。先端はレゴリスと呼ばれる分厚いちりの層に覆われ、ルテティアが宇宙空間でゆっくりと回転するたび地滑りのように表面に沿って流れ出していた。

 1立方メートルあたり3400キログラムという高密度や、大型な点、原初をとどめた表面から、ルテティアが過去に研究されてきたどの小惑星とも違うタイプであることが分かると、各論文は指摘する。

■減りつつある微惑星

 論文の1つを執筆したパリ天文台(Paris Observatory)のステファン・エラール(Stephane Erard)氏は、ルテティアは微惑星の可能性があると話した。微惑星とは、約40億年前に太陽系が形成される際に凝集して惑星を形作った微小天体のことだ。

 微惑星は、宇宙ちりが集まってできた塊が大きく成長し、自らの引力を備えるようになった岩石と定義される。他の物体を引きつけてやがて惑星胚となるが、惑星になり損ねた微惑星はそのまま軌道を回り続けると考えられている。

 エラール氏によると、微惑星は長い年月の間にほかの天体と衝突して粉々に割れ、小惑星となる。このような小惑星は数百万個あるが、大型の微惑星の数は比較的少なくなっているという。(c)AFP/Annie Hautefeuille and Richard Ingham