【10月27日 AFP】米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)の予防接種に関する諮問委員会は25日、性交渉を通じて感染し子宮頸(けい)がんなどの原因になるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンを、11~12歳の男子にも定期的に接種すべきと勧告した。

 男性においても尖圭コンジローマやがんの発症を抑える効果が期待でき、間接的に女性を保護できるという。また、女子のワクチン接種率が伸び悩んでいることから、性経験前の男子に接種することで、女性側の負担を軽減することにもつながるとしている。

■同性愛者の肛門がん予防にも効果

 一方、HPVワクチン接種は男性同性愛者の肛門がん予防にも効果があるとの研究結果が、26日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表された。

 米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California San Francisco)のジョエル・パレフスキー(Joel Palefsky)教授率いる研究チームは2006~08年、米国やオーストラリアなどの16~26歳の男性同性愛者602人を対象に追跡調査を行った。

 被験者にはワクチンまたは偽薬を無作為に投与した。その結果、ワクチンを接種した被験者が肛門のHPV感染や前がん病変を発症した割合は、偽薬を投与された被験者と比べて、HPV感染歴がない被験者で75%、感染歴のある被験者で54%低かった。

 HPV感染は性的に活発な男性同性愛者の半数が経験し、がんを誘発する恐れがあるが、何の症状も現れないことも多い。早期に発見できれば病変を取り除き、がん発症を予防できる。ただし、性経験をする前にHPVワクチン接種を受けることが重要だと専門家たちは指摘している。(c)AFP/Kerry Sheridan