【10月19日 AFP】英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKlineGSK)が開発し、サハラ以南のアフリカ諸国でフェーズ3の治験が行われている、実用化されれば世界初となるマラリアワクチンについて、子供の感染リスクが半減したとする有望な初期結果が18日公表された。

 蚊が媒介するマラリアの死者は、アフリカを中心に年間80万人にのぼっている。死者の大半は子供だ。

 マラリアワクチン「RTS,S」は、熱帯熱マラリア原虫からの防御のために免疫系を発動させるもので、ベルギーにある同社の研究所で1987年に開発された。細菌やウイルスではなくマラリア原虫をターゲットにしたマラリアワクチンはRTS,Sが初めて。

 治験は1992年に欧米で健康体の成人を対象に始まり、1998年からは西アフリカ・ガンビアを皮切りにサハラ以南の7か国(ブルキナファソ、ガボン、ガーナ、ケニア、マラウイ、モザンビーク、タンザニア)でも開始された。治験には乳幼児1万5460人が参加し、同社は「マラリアワクチンの史上最大の治験」だとしている。

 その初期結果が同日、米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」電子版に掲載され、米ワシントン(Washington)州シアトル(Seattle)で慈善財団ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団(Bill and Melinda Gates Foundation)が主催したマラリアフォーラムでも発表された。

■2015年までに実用化の可能性

 初期結果はRTS,Sを3回注射した後12か月の経過観察が行われた生後5~17か月の子供6000人のデータを分析したもので、マラリア発症リスクが56%、重症化リスクが47%、それぞれ低減されていた。

 マラリアに特に感染しやすい乳幼児に対するRTS,Sの効果を正確に判断するには、生後6~12か月の詳細なデータが必要で、これらのデータは来年公表されるという。

 専門家によると、発熱や注射した部位が腫れるなどの副作用があるが、これらは他の病気の予防接種を受けた子供にもよく見られるという。ワクチンの効果はどのくらいの期間続くのか、費用はどのくらいかかるのかといった問題は今後の課題として残っている。

 貧困国の予防接種に資金提供しているGlobal Alliance for Vaccines and Immunization(GAVI Alliance)のセス・バークリー(Seth Berkley)氏は、マラリアは世界で最も貧しい人たちにとって非常に大きな問題なのでワクチンは待ち望まれていたと指摘し、完璧ではないまでも一定の成果を収めたことは非常に大きな出来事だと語った。

 グラクソ・スミスクラインのアンドリュー・ウィッティ(Andrew Witty)最高経営責任者(CEO)によると、RTS,Sの開発には既に3億ドル(約230億円)を費やしている。2015年までには、アフリカの子供たちにこのワクチンを安価に提供したいと語った。(c)AFP/Kerry Sheridan