【10月18日 AFP】第43回世界体操競技選手権(43rd World Artistic Gymnastics Championships)の男子個人総合で史上初の3連覇を達成した内村航平(Kohei Uchimura)は、その栄冠に満足することなく、ビタリー・シェルボ(Vitaly Scherbo)氏を越えるという新たな目標を口にした。

 今世界選手権で金メダル2個、銀メダルと銅メダルを1個ずつ獲得した22歳の内村は、歴代最高の体操選手は誰かと質問を受けると、すぐさま「シェルボ」と答えた。

 ベラルーシ人のシェルボ氏は、独立国家共同体(旧ソビエト連邦)代表として出場した1992年のバルセロナ五輪で、体操競技では1大会史上最多となる6種目(8種目中)で金メダルを獲得し、世界選手権では通算12個の金メダルを手にしている。

 五輪デビューを飾った2008年北京五輪の個人総合で銀メダルを獲得して以来、同種目では負け知らずの内村は、「結果は重要じゃないです。僕の目標は、本当はシェルボのルーティンより美しいパフォーマンスをすること」と語る。

 10日間に渡って行われた今世界選手権の最終種目、銅メダルを獲得した種目別決勝の鉄棒で最終演技者として登場した内村は、芸術性を見せた。

 内村は、伸身の新月面(後方二回宙返り二回ひねり)から微動だにしない着地を決めると、会場に詰め掛けたファンが歓声を上げる中、両手を高々と上げた。内村は、鉄棒から離れた瞬間に完璧な着地ができると確信していたと振り返っている。

 同種目では、演技の難易度などを評価するDスコアで金メダルを獲得した中国の鄒凱(Zou Kai、ツォウ・カイ)が7.700点を記録する中、上位5選手の中では最低の7.300点だった内村だが、演技の出来栄えや芸術性などを評価するEスコアでは、唯一9点台を記録した。

 しかし、内村は2012年ロンドン五輪に向けてDスコアを改善する必要は無いと見ている。「他の選手はルーティンを改善してくると思いますが、僕はEスコアを伸ばしたい。今回の個人総合でのパフォーマンスと同じようにできれば、結果はついてくると信じている」

(c)AFP/Shigemi Sato

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