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1人の精子ドナーから多数の子ども、近親相姦の危険性も

2011年10月9日 18:25 発信地:モントリオール/カナダ

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1人の精子ドナーから多数の子ども、近親相姦の危険性も
ベルギー・ブリュッセル(Brussels)の病院で行われる卵細胞質内精子注入法(2011年2月2日撮影)。(c)AFP/GEORGES GOBET

【10月9日 AFP】1人の精子ドナーから数十人の子ども――SFのシナリオのような話だが、米国やカナダでは、規制が緩いために同じ父親から数十人、数百人の子どもが生まれており、専門家らが懸念を示している。

 カナダ保健省によると、フランスや英国とは違い、カナダや米国には、1人の精子ドナーからつくってもよい子どもの人数を制限する法律がない。

 国際的な基準では、同一の精子ドナーからの妊娠は20回が限度とされている。またデンマークでは同一ドナーからの子どもは25人までに制限されている。さらに、多くの精子バンクが独自の規制を設けている。

 だが、規則は常に守られるとは限らない。「デザイナーベビー」を産もうとする家族は、特定の遺伝子や特徴、たとえば目の色やIQレベルなどを基準に、カタログからドナーを慎重に選択する。その結果、特定の人気ドナーが多くの子どもの生物学的父となっている。

■世界中に1000人のきょうだい?

 カナダと米国では最近この問題が取り上げられ、いくつかの映画やドキュメンタリーも製作された。

 ことし発表されたカナダのコメディー映画「スターバック(Starbuck)」は、手早く簡単に金稼ぎをするために精子を売っていた男性が、意図せずして533人の生物学的な父になっていたというストーリーだ。

 また、トロント(Toronto)のドキュメンタリー制作者、バリー・スティーブンス(Barry Stevens)氏は、自分の経験をもとにした作品を制作した。

 スティーブンス氏は精子提供を受けて英国で生まれたが、彼の生物学的父は、精子バンクを通じて30年間でなんと500~1000人の子どもをつくっていたという。スティーブンス氏の異母きょうだいたちは、カナダ、米国、欧州、その他に広がっている。まさに「事実は小説よりも奇なり」だ。

■遺伝的疾患や近親相姦の危険性

 専門家たちは、1人のドナーに過剰に依存することで、遺伝的疾患や先天性異常が広がる危険性が高まると警告している。また、一部専門家は、異母きょうだい同士の意図しない近親相姦(そうかん)の危険性すらあると指摘する。

 スティーブンス氏は「ある1人のドナーの子ども同士が出会い、セックスをして、子どもを産む可能性は除外できない。さらには、ドナー自身が、自分の娘とセックスをすることだってあるかもしれない」と述べる。

 カルガリー大学(University of Calgary)の生命倫理学専門家、Juliet Guichon氏は、子どもたちの意図しない近親相姦は想像するよりも頻繁に発生していると指摘する。「精子ドナーを求める人は、同じ社会的・経済的地位の出身者。顔見知りだったり、同じ医師にかかっていたり、近所に住んでいたりする」

 2004年以降、精子ドナーへの対価支払いを中止したカナダでは、結果として在庫が枯渇し、医療機関は米国を中心とした輸入精子に大きく依存している。(c)AFP/Kilian Fichou

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