【9月23日 AFP】オーストラリアの人気者、コアラが直面する脅威が増しており、危急種の指定を検討するべきだとの公式調査報告書が22日、発表された。生息地が失われ、個体数が急減しているという。

 報告書によると、野生のコアラは英国からの入植が始まった1788年以前には1000万匹以上いたと考えられるが、現在は推定4万3515匹と、著しく減少している。

 コアラが直面している深刻な脅威には、干ばつ、森林伐採、都市開発、山火事、病気などがある。野犬に襲われる、自動車にひかれるなどの危険もある。中でも最大の脅威は生息地の減少で、クラミジアやコアラレトロウィルスといった感染症にかかりやすくなる上、繁殖可能な個体群も分断されてしまっている。

 特に、北部に生息する個体群がより深刻な危機に瀕しており、一部地域では生息域に対してコアラの個体数が増えすぎたため、エサが底を尽きつつあるという。

 しかし、危険度には地域差があることから「解決は容易ではない」と報告書は指摘。コアラの危急種指定を検討するよう豪政府に要請するとともに、「かつてなく絶滅危惧種リスト入りが迫っている」として緊急措置を講じる必要を訴えている。(c)AFP