【8月25日 AFP】リビア反体制派の「国民評議会(Transitional National CouncilTNC)」は24日、行方をくらましている最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の身柄拘束に、生死を問わず200万リビア・ディナール(約1億3000万円)の懸賞金をかけたと発表した。

 TNCのムスタファ・アブドルジャリル(Mustafa Abdel Jalil)議長によると、懸賞金は実業家が出す。また、カダフィ大佐を殺害または拘束すれば、大佐の側近であっても恩赦を与えると述べている。

■カダフィ派反撃、外交面では進展も

 首都トリポリ(Tripoli)では同日、23日に反体制派が制圧したバブ・アジジヤ(Bab al-Aziziyah)地区にあるカダフィ大佐の邸宅でカダフィ派の反撃が始まり、激しい戦闘となった。周辺にはカダフィ派の狙撃手が何人も潜んでおり、通りは閑散としている。しかし、反体制派の軍事部門スポークスマンは、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラ(Al-Jazeera)に対し「われわれはリビア国土の90~95%を掌握した」と主張した。

 多くの外国人記者が拠点としている市内のリクソス・ホテル(Rixos Hotel)では、カダフィ派に事実上監禁されていた外国人記者らが解放された。一方、市内でフランス人記者2人が負傷したとの情報があるほか、リビア国内でイタリア人記者4人が誘拐されたとの報道もある。

 米国防総省は、リビア国内にある化学兵器などの大量破壊兵器について「安全」だと発表。ホワイトハウスのジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)報道官は「TNCに信頼を置いている」と述べ、TNCがトリポリ制圧後に新政権を樹立することに自信を示した。また、カダフィ大佐を熱心に支持していたチャドとブルキナファソがTNCをリビア唯一の代表と認め、反体制派は外交上でも大きな強みを握った。

■カダフィ大佐、堂々と逃亡か?

 反体制派は23日、邸宅内にカダフィ大佐の姿はなかったと発表、大佐と家族の居場所は謎のままとなっている。

 そうした中、カダフィ大佐は24日、次男セイフイスラム(Seif al-Islam Kadhafi)氏が運営するテレビ局のウェブサイトで、「(邸宅から)戦略的な撤退をした」とのメッセージを公開。続いて、シリアのテレビ局を通じて音声メッセージも流し、「身分を隠して街中に徒歩で出たが、わたしを見とがめる者はいなかった」「若者たちがトリポリを(反体制派から)守る準備を進めていた」などと述べた。(c)AFP/Marc Bastian and Dominique Soguel