【8月23日 AFP】初めて熱を使った料理をマスターした現代人の祖先は、約190万年前に現れたホモ・エレクトス(Homo erectus)だったとみられるという研究成果が、22日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 論文を発表した米ハーバード大(Harvard University)の研究チームは、加熱調理などの食品の加工がネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や現生人類ホモ・サピエンス (Homo sapiens) の飛躍的進化をもたらしたとしている。

 霊長類、現生人類、絶滅した14種のヒト科の動物のDNAや臼歯の大きさ、体重などの比較分析に基づくもので、ホモ・エレクトスは加熱調理の仕方を知っていた可能性があるとする従来からの学説を支持する結果となった。

 霊長類は、体が大きくなるほど臼歯も大きくなり、食事にかかる時間も長くなる。人間と同程度の大きさの大型霊長類は、1日の行動時間のうち48%を食事に費やす。

 しかし、ハーバード大の研究によると、1日の行動時間に対する食事時間の割合は、ホモ・エレクトスが6.1%、ネアンデルタール人が7%、現代人は4.7%となっている。体重は増えたが、臼歯のサイズは小さくなっていた。

 火と道具を使って食事を作ることによって摂取できるカロリーが増え、食糧探しや食事自体にかかる時間が少なくて済むようになったと考えられる。研究は「食事にかける時間と臼歯の大きさは、人類と他の霊長類とでは大きく違っている。この違いは更新世(約250万年前~1万1700年前)が始まったころから現れた」と指摘している。

 この研究によると、加熱調理を最初に始めたのはホモ・ハビリス(Homo habilis)やホモ・ルドルフエンシス(Homo rudolfensis)など、ホモ・エレクトスよりやや早くアフリカに現れた他の種の可能性もあるという。いずれにせよ、加熱調理で必要になる道具や行為が、人類の祖先がアフリカから拡散を始める前のホモ・エレクトスの時代には発展していたと考えられるという。(c)AFP