【8月14日 AFP】メキシコ警察は11日未明、メキシコ市(Mexico City)南部で急襲作戦を行い、900人の殺害に関与した疑いのある犯罪組織の指導者、オスカー・オスバルド・ガルシア・モントーヤ(Oscar Osvaldo Garcia Montoya)容疑者を拘束した。メキシコ市に隣接するメキシコ(Mexico)州のアルフレド・カスティジョ(Alfredo Castillo)検事総長が会見で明らかにした。

 ガルシア・モントーヤ容疑者は、300人の殺害に自ら関与し、600人の殺害を組織のメンバーに指示した容疑がもたれている。当局によると、「目のついた手」と呼ばれる組織を率いるガルシア・モントーヤ容疑者は元軍人で、グアテマラ軍の特殊部隊「カイビル(Kaibiles)」で訓練を受けたという。

 ガルシア・モントーヤ容疑者は、麻薬カルテル「ベルトラン・レイバ(Beltran Leyva)」や、2010年8月に拘束された同組織幹部の「La Barbie(ラ・バービー)」ことエドガー・バルデス・ビジャレアル(Edgar Valdez Villarreal)容疑者ともつながりを持っていたとみられている。

■無関係の詩人ら3家族、警察が自宅に踏み込む

 この作戦で警察は、誤って民間人の住宅3軒にも踏み込んだ。メキシコの詩人エフライン・バルトロメ(Efrain Bartolome)さんと、妻で作家のグアダルーペ・ベルモンテス(Guadalupe Belmontes)さんは11日、警察が突然自宅に踏み込んできたとして抗議した。警察がガルシア・モントーヤ容疑者を拘束した急襲作戦の際に誤ってバルトロメさんの自宅に踏み込んだという。

「わたしたちは脅されて地面に倒され、夫は頭を殴られて『武器はどこにある?』と怒鳴られた。その後、警察はなんの説明もなく立ち去った」と、ベルモンテスさんはAFPの取材に語った。カスティジョ検事総長は警察に踏み込まれた家族に謝罪し、作戦中に「いくつかの間違い」が起きたことを認めた。

 フェリペ・カルデロン(Felipe Calderon)大統領は大統領就任後の2006年12月、麻薬組織の取り締まりに軍を投入したが、それ以降の麻薬に関連した暴力事件による死者はメキシコ国内で4万1000人を超えている。全国人権委員会(National Commission on Human Rights)によると、カルデロン政権の麻薬組織撲滅作戦の中、自宅が治安部隊に踏み込まれたという苦情が増えているという。(c)AFP