【8月13日 AFP】英国各地に広がり、これまでに死者5人が出ている暴動がこの週末に再燃することを英当局は警戒している。

 今週、首都ロンドン(London)の警察官は通常の2倍以上の1万6000人に増やされた。テリーザ・メイ(Theresa May)内相は、この週末にも暴動が起きる可能性はあり、追って発表するまでこの警戒態勢を続けると述べている。

 前週6日にロンドン北部トッテナム(Tottenham)で始まった暴動は、バーミンガム(Birmingham)やマンチェスター(Manchester)、リバプール(Liverpool)、ノッティンガム(Nottingham)といった大都市を含む英各地に飛び火し、4夜に渡って続いたが、その後は沈静化して3日が経過した。

 暴動や放火、略奪などの容疑で、これまでに全国で1600人が逮捕されている。イングランドですでに裁判所に出廷したのは796人で、そのうち122人が18歳未満だという。立件された容疑者の3分の2が再勾留されている。ロンドン警視庁の逮捕者数は1144人で、うち693人が起訴された。

■暴徒に強硬な世論が台頭

 英国では、今回の暴動に関連して有罪となった場合には、国からの福祉提供を取りやめ、公営住宅に住んでいる場合は立ち退かせるべきだという意見に同調する世論が強まっている。

 オンライン調査会社ComResが10~11日に、英紙インディペンデント(Independent)のために成人2008人を対象に行った世論調査によると、財政再建のために削減された警察予算を元に戻すべきだと考える人が71%、暴動に関連する違法行為に対しては、微罪でも自動的に実刑判決を下すようにすべきだと考える人が78%に上った。

 また、暴動を初期の段階で封じ込めるリーダーシップがデービッド・キャメロン(David Cameron)首相に欠けていたと考える人は54%と半数以上に上った。

■政治家と警察が批判の応酬

 暴動再燃の懸念が消えない中、政治家と警察当局の間で責任のなすり合いがエスカレートしている。最初の暴動が起きた際の警察の対応が慎重すぎたために暴動の拡大を招いたと批判する政治家たちに対し、警察幹部は珍しく公然と反発し、前年からの緊縮財政の一環として警察予算が削減された点を非難している。

 英首相官邸の発表によるとキャメロン首相は、ギャング取り締まりの経験がある米ニューヨーク(New York)市警の元本部長ビル・ブラットン(Bill Bratton)氏に、英警察への助言を依頼しているという。

 サッカーのイングランド・プレミアリーグは13日に開幕するが、トッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)対エバートン(Everton)の試合は安全確保ができていないとの理由で延期された。(c)AFP/Robin Millard