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T細胞の改変で末期の白血病患者が全快、米研究

2011年08月11日 18:28 発信地:ワシントンD.C./米国

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T細胞の改変で末期の白血病患者が全快、米研究 ▲ キャプション表示
×ウクライナ・ドネツク(Donetsk)の病院で治療を受ける白血病の子ども(資料写真、2011年3月23日撮影)。(c)AFP/ALEXANDER KHUDOTEPLY
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【8月11日 AFP】患者本人のT細胞(免疫細胞)を遺伝的に改変してキラー細胞とする新たな白血病治療法で、末期の白血病患者3人のがん細胞が死滅または激減したとの研究結果が10日、米医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・マガジン(Science Translational Medicine)」と同「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に同時発表され、驚きをもって受け止められている。

 まだ開発途上ながら、この遺伝子導入治療は将来、卵巣がん、肺がん、乳がん、皮膚がんの患者にとっても希望の光となるかもしれない。

■2人でがん細胞が死滅

 米ペンシルベニア大(University of Pennsylvania)の研究チームは、患者から採取したT細胞に遺伝子操作を施し、CD19たんぱく質(がん細胞もこれに含まれる)を発現させる全細胞を攻撃するよう改変した。また、副作用を伴わずがん細胞を早期に死滅させるため、他のT細胞とがん細胞が結合した瞬間にT細胞の増殖を促す改変も行った。

 この治療法を適用した3人の慢性リンパ球性白血病(CLL)患者のうち、1人は64歳男性で、血液と骨髄に3キロ分のがん細胞があった。治療後2週間はほぼ何の変化もなかったが、その後吐き気、悪寒、高熱を訴えるようになった。検査の結果、改変T細胞の数が急増しており、吐き気や熱はがん細胞の死滅時に現れる腫瘍(しゅよう)崩壊症候群の症状だと分かった。治療開始から28日目までにがん細胞は死滅し、1年後の検査でもがん細胞は検出されなかった。

 2人目の65歳男性でも同様の結果が出た。

 3人目の77歳男性では、腫瘍崩壊症候群の治療のためステロイドを処方された後わずかではあるが、がんが再発した。それでも、がん細胞の量は治療前をはるかに下回る状態が続いた。

 カール・ジューン(Carl June)研究員によると、3人とも改変T細胞の数が少なくとも1000倍に増えた。改変T細胞は平均して1個あたり数千個のがん細胞を死滅させていた。

■急性リンパ性白血病でも有効性を調査へ

 白血病の主な治療法である骨髄移植は、死亡リスクが最低でも20%あり、治癒率も50%程度でしかない。今回の方法ががんの再発をどれほどの期間抑えられるのかは不明だが、改変T細胞ががん細胞死滅後少なくとも1年は残存すること、つまり体が防御態勢を維持することに、研究者らは興奮している。

 次は、この治療法を小児患者2人とCD19陽性の成人患者少なくとも13人に試す予定だ。非ホジキンリンパ腫、急性リンパ性白血病、中皮腫、卵巣がん、すい臓がんに有効かも調べることにしている。

 実験に参加した患者の1人は、「今は健康そのもの。永遠にこの状態が続くわけではないことも覚悟しているが、勝利を宣言したい」とのコメントを出した。(c)AFP/Kerry Sheridan

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