【7月25日 AFP】「どんな物体も光の速度を超えることはできない」との理論物理学者アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)の理論に、光の粒子である「光子1個」が従っていることを証明したと、香港の物理学者たちが発表した。つまり、SFの物語外では、タイムトラベルが不可能であることが示されたことになる。

 Du Shengwang氏率いる香港科技大学(Hong Kong University of Science and Technology)の研究チームは、光子1個が「宇宙の移動の法則に従っている」ことを証明したと発表した。

 香港科技大学のウェブサイトに掲載されたプレスリリースは、「アインシュタインは光速が宇宙の移動の法則であること、単純にいえば、どんな物体も光速を超えることはできないことを主張した」「Du教授の研究は、光の量子である光子1個が、電磁波と同様に、宇宙の移動の法則に従うことを証明した」と述べている。

 タイムトラベルの可能性は、10年ほど前に科学者らが、光速を超える「超光速」の光パルスの伝播を特定の媒体で発見したことで持ち上がった。その後、その現象はたんなる視覚効果であったことが分かったものの、研究者たちは光子1個が光速を超える可能性があるかもしれないと考えてきた。

 だが、Du氏は、アインシュタインが正しかったと考え、議論に決着をつけるために、史上初めて光子1個の最高速度を測定することにしたという。

 プレスリリースによると、研究の結果、「光子1個は光速を超えることはできなかった。アインシュタインの因果律、すなわち結果は原因なくして起こりえないとする主張が正しかったことが確認された」という。

 研究は、米国の科学査読論文誌「Physical Review Letters」に発表された。(c)AFP