【7月14日 AFP】東京都の石原慎太郎(Shintaro Ishihara)知事(78)は、6月28日にAFPが行ったインタビューで、東京電力(Tepco)福島第1原子力発電所の事故を受けて原発に対する「一種のヒステリー」が起きると予想されるが、日本には原発がまだ必要だとの認識を示した。

 また、北朝鮮、ロシア、中国という「日本に敵意を持った」近隣国の存在を考慮すると、決して使用してはならないものの、日本は核武装するべきだとの考えを語った。

■フランス人に出来て、なぜ日本人に出来ないのか

 4月の都知事選挙で再選された石原都知事は、原発について「管理さえしっかりしていれば、コストの面で、非常に安い電力を供給できる」と指摘。「これから選挙の時に、原子力発電所に関して一種のヒステリーが起きると思う」との見通しを示しつつ、電力供給の4分の3以上を原発でまかなっているフランスを例に挙げて「フランス人に出来ることがなぜ日本人に出来ないのか」と述べ、今後も日本には原発が必要との見方を示した。

 日本はこれまで電力の3割近くを原発に頼ってきた。東日本大震災を受けた原発停止による電力不足の懸念が広がるなか、東京都は都庁舎の節電目標を、国の求める15%をはるかに超える25%に設定。明かりをつける照明の数を減らすなど、さまざまな節電対策に取り組んでいる。

■再生可能エネルギーには懐疑的

 石原氏は、ディーゼル車規制や気候変動対策方針の策定、排出量取引制度の導入、緑化計画など、環境政策では高い評価を受けている。2016年夏季五輪の招致活動でも、地球環境の大切さに焦点を当てた構想を前面に出した。

 だが、再生可能エネルギーについては、日本の産業界を支えるにはまだ未熟だと考えているという。

「バイオマスは日本ではコストが高すぎる。太陽光はそんなもので、日本の産業はとても支えられない。風力発電は日本では案外効果が薄くて、特に落雷が多いので、すぐに壊れる」

「そんなもので日本の、世界第3位の経済産業が担保されると思いますか」

 その上で石原氏は、原発の代替案として、東京湾の埋め立て地などに天然ガス発電所を新設する考えに言及。「環境問題でも石油よりも悪い影響の少ない天然ガスを使った装置を原発に見合うくらいのコストで、電力を供給できる可能性があります」と語った。

■核武装で「日本の存在感が変わる」

 一方、核武装については、「日本は核兵器を持つべきだと思っています」と主張した。「持ったって、絶対に使えない。しかし日本が核兵器開発のためのコンピュータを使ってシミュレーションするだけで、日本の存在感は変わってくると思います」

 その理由について、石原氏は「日本みたいな国が、世界でどこにありますか。北朝鮮、ロシア、中国とこんな間近に日本に敵意を持った国が3つも国境を接してある、こういう危険なシチュエーションにある国は世界中に日本しかないと思います」と説明した。(c)AFP/Harumi Ozawa