【6月12日 AFP】5月16日にケニア中部のニャフルル(Nyahururu)にある自宅の2階から転落して24歳で死亡した、同国出身で北京五輪男子マラソン金メダリストの故サムエル・ワンジル(Samuel Wanjiru)氏の葬儀が11日、同地で行われた。

 ワンジル氏が少年時代に練習を積んだ競技場で執り行われた葬儀には、北京五輪銀メダリストのキャサリン・ヌデレバ(Catherine Ndereba)や、ベンジャミン・リモ(Benjamin Limo)、ダニエル・コーメン(Daniel Kipchirchir Komen)、そしてキプチョゲ・ケイノ(Kipchoge Keino)の各氏というケニアを代表するランナーが参列した。

 ケニア五輪委員会(National Olympic Committee of KenyaNOC-K)の委員長を務めるケイノ氏は「我々は素晴らしき人を亡くした。彼がロンドン五輪で連覇を達成するのを楽しみにしていた」と哀悼の意を述べた。その後、ワンジル氏の遺体は死後約1ヶ月を経て、自宅近くにある家族の農場で埋葬された。

 当初は事故とみられていた死因には、自殺あるいは他殺の疑惑も挙がっている。

 地元警察署長のジャスパー・オンバチ(Jasper Ombati)氏によると、帰宅したワンジル氏の妻が、ワンジル氏が夫妻の寝室でバーに勤める若い女性と共にいるところを見付け、怒った妻は部屋に鍵をかけて立ち去ったという。警察の当初の見立てでは、酔っていたワンジル氏は自分が2階にいることを忘れ、妻を止めようと飛び出したバルコニーから転落、その数時間後に病院で息を引き取ったとされていた。

 警察はすぐさま自殺とみて軽く処理しようとしたが、死亡して2週間以上経ってからワンジル氏の母親の要請により検視が行われ、病理学者3人のうち2人がワンジル氏の死亡原因は後頭部への強力な殴打によるものと結論付け、当局の捜査結果を部分的に否定した。

 また、膝と手の傷口がワンジル氏が顔を下にして落下したことを示しているため、後頭部の負傷は落下によるものではないとみられる。
 
 しかしながら、オンバチ署長は新たな発見にも動じていない様子で「捜査は継続中だが、これまでに言ったように初動捜査の結果は、彼が偶発的に転落したことを示している」と語っている。(c)AFP/Bernard Momanyi

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