【6月10日 AFP】米ホテル女王、故レオナ・ヘルムズリー(Leona Helmsley)さんの愛犬で、ヘルムズリーさんが遺産1200万ドル(約9億6000万円)を相続させると遺言して話題となったマルチーズの「トラブル(Trouble)」が、昨年12月13日に死亡していたことが分かった。ヘルムズリー家の代理人が9日になって初めて、明らかにした。

 死亡時のトラブルの年齢は12歳。人間ならば84歳に相当し、変わり者の慈善家だった飼い主のヘルムズリーさんが2007年に死去した87歳と、ほぼ同じ年で没したといえる。火葬されたトラブルの遺灰は「遺族」の元にあるという。

 へルムズリーさんは1200万ドルを愛犬のトラブルに相続させるとの遺言を残したが、ニューヨーク(New York)の裁判所は、遺書を作成した時にヘルムズリーさんは心神喪失状態にあったとの親族からの訴えを認め、トラブルへの遺産額は1200万ドルから200万ドル(約1億6000万円)に減額された。

 トラブルが残した遺産は、ヘルムズリーさんと夫の名を冠した慈善信託基金に引き継がれたという。

■もう1つの遺言もかなわず

 一方、へルムズリーさんは遺産相続のほかに、もう1つ、遺言を残していた。それは天国で再びトラブルと結ばれるために、トラブルを自身の墓の隣に葬ってほしいというものだ。だが、この願いもかなえられそうにない。というのも、へルムズリーさんが眠るニューヨーク郊外のスリーピー・ホロウ墓地(Sleepy Hollow Cemetery)は動物の埋葬を認めていないからだ。

 ニューヨーク・デーリーニューズ(New York Daily News)によると、トラブルの世話には年10万ドル(約800万円)を要した。その内訳は、グルーミングに8000ドル(約64万円)、餌代に1200ドル(約9万6000円)、残りはトラブルの身を守るための安全対策費用だ。トラブルは、誘拐や殺害の脅迫を多数受けていたからだ。

 トラブルの場合、「餌」といっても、それはプラスチックの皿に盛られた缶入りのペットフードなどではない。ヘルムズリー家が経営する高級ホテルのシェフが調理した新鮮な鶏肉や野菜料理で、トラブルには純銀や陶器の器で供されていたという。(c)AFP/Sebastian Smith

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