【6月8日 AFP】南米チリのプジェウエ(Puyehue)火山の半世紀ぶりの噴火で、火山灰がアルゼンチンからウルグアイ、ブラジルの一部まで南米の広い地域に達し、空の便に影響を及ぼしている。

 隣国のアルゼンチンでは噴火が始まった4日から、南部で複数の空港が閉鎖されたままだ。南米の空の拠点となっているブエノスアイレス(Buenos Aires)の2つの空港では7日、両空港を合わせて62便が欠航となった。

 航空当局は現在、フライトスケジュールを調整しているという。チリのラン航空(Lan Airline)は、アルゼンチン便の運航状況は徐々に正常に戻りつつあると発表した。

■火山周辺では土石流の危険

 一方、プジェウエ火山近郊の村々では火山灰を含んだ雨が降り、土石流の発生が懸念されている。さらに、チリの首都サンティアゴ(Santiago)から南に約870キロ離れた場所にあるダムには決壊の恐れが出ている。

 チリ地質鉱業管理局(SERNAGEOMIN)によると、プジェウエ火山の噴火活動は沈静化の傾向を見せているものの、火山から噴出した大量の堆積物が周辺地域に流れ出す危険は消えていない。これまでに同火山周辺の22自治体の住民4000人あまりが避難している。

 さらに、豪雨が状況の悪化に拍車をかけている。南半球は現在、冬を迎えているが、プジェウエ火山からの泥流や火山灰の影響で、アルゼンチンでは保養地バリローチェ(Bariloche)を含むチリとの国境一帯で住民らが電気や水道が使えない状況を強いられている。

 火山の噴火以降、火山灰が降り注ぐ地域ではマスクの値段が1枚8ドル(約650円)相当にまで急騰しているという。

 プジェウエ火山は1960年にマグニチュード(M)9.5の大地震後に噴火して以来、目立った火山活動は起きていなかった。(c)AFP/Roser Toll

【動画】プジェウエ火山から上がる噴煙(YouTube/AFPBB News公式チャンネル)