【5月30日 AFP】セルビアの首都ベオグラード(Belgrade)で29日、ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦当時のセルビア人武装勢力司令官で戦犯として国際法廷に起訴されたラトコ・ムラディッチ(Ratko Mladic)被告(69)の身柄拘束に抗議する1万人規模のデモがあり、一部が投石するなど暴徒化して治安部隊と衝突、100人以上が逮捕された。

 警察によると、市内中心部の議会前で行われたデモには8000~1万人が参加。警官隊や機動隊3000人が警戒する中、極右民族派セルビア急進党(Serbian Radical Party)のポスターや横断幕を掲げ、「ムラディッチはセルビアの英雄だ」などと叫んだ。抗議行動は概ね平穏に行われていたが、若者らが暴徒化し、警官隊と衝突。イビツァ・ダチッチ(Ivica Dacic)内相が国営テレビに語ったところによると、未成年37人を含む111人が警察に身柄を拘束された。

■ムラディッチ被告「むしろ命救った」、虐殺関与を否定

 一方、セルビア戦犯法廷内の拘置所に拘束されているムラディッチ被告と面会した息子のダルコ・ムラディッチ(Darko Mladic)氏によると、同被告は1995年にボスニアのスレブレニツァ(Srebrenica)で起きた大量虐殺への関与を一切否定し、むしろ多くの命を救ったと主張しているという。

 ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中の1995年7月に起きたスレブレニツァ虐殺事件では、イスラム教徒の男性や少年8000人あまりが殺害された。第二次世界大戦(World War II)以降の欧州で起きた最悪の残虐行為とされ、ムラディッチ被告はこの虐殺を指揮した罪に問われている。

 しかしダルコ氏は、「彼(ムラディッチ被告)はスレブレニツァで起きたことには全く関与していないと言った。彼の最初の命令は、負傷者、女性、子どもたち、そして戦士たちを救出せよというものだった。(虐殺を指揮したのは)背後にいる第三者で、彼は無関係だった」と述べた。

 ムラディッチ被告はジェノサイド、戦争犯罪、人道に対する罪でオランダ・ハーグ(Hague)の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷(International Criminal Tribunal for the former YugoslaviaICTY)に起訴されており、数日内にもハーグに身柄を移送される見込み。(c)AFP/Katarina Subasic

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