【5月23日 AFP】7月に南部が独立するスーダンで、北部政府軍が21日、南北の係争地アビエイ(Abyei)に進攻し、南部のスーダン人民解放軍(SPLA)との激しい戦闘の末、同地を掌握した。南部の自治政府は「侵略だ」と強く反発、国連安全保障理事会(UN Security Council)も22日、北部政府軍の即時撤退を求める声明を出した。

 スーダンでは、22年間続いた南北間の対立が「南北包括和平合意(North-South Comprehensive Peace AgreementCPA)」によって終わり、1月に行われた国民投票の結果、7月に南部が独立することが決まっている。

 南北の境界付近にあり石油資源が豊富なアビエイでも住民投票が行われる予定だったが、投票の有資格者の範囲をめぐって南北が対立し、投票は無期限延期された。アビエイは、CPAでは特別地域とされ、南北双方の軍の侵入が禁じられている。

 スーダン首都ハルツーム(Khartoum)で会見した北部政府のアミン・ハサン・オメル(Amin Hassan Omer)大統領府担当相は、「アビエイと河岸北部一帯を掌握した」と発表。「SPLAがアビエイで存在感を誇示しようとしており、CPAの下で許容できない」ことが進攻理由だと説明した。

 これに対し南部自治政府は、北部政府の発表は「完全な虚偽」だと非難。北部政府がアビエイを「侵略」し「不法占拠」したことによって、南北間の衝突が再燃する恐れがあると警告した。

 一連の動きを受け、スーダンの首都ハルツーム(Khartoum)を訪問中の国連安保理の訪問団は22日、「急速に悪化するアビエイ情勢について非常に深く懸念している」との声明を発表し、北部政府軍に対して部隊の撤退を正式に要求した。(c)AFP