【5月1日 AFP】(一部更新、写真追加)バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は1日、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の最高指導者、ウサマ・ビンラディン(Osama Bin Laden)容疑者をパキスタンで殺害したと発表、「正義はなされた」と宣言した。

 オバマ大統領は1日深夜、米ホワイトハウス(White House)で緊急のテレビ演説を行い、「わたしは今夜、米国民と世界に向けて、アルカイダの指導者であり数千人の無実の男女や子どもたちの殺害に責任のあるテロリストのウサマ・ビンラディン容疑者を、米国による作戦で殺害したことを報告しよう」と述べた。

 演説によるとオバマ大統領は1日、前年8月に得た情報を元にしたパキスタンの潜伏先への攻撃を米軍部隊に指令。少人数の米部隊が「たぐいまれな勇気と能力」で作戦を実行し、「銃撃戦の末、ウサマ・ビンラディン容疑者を殺害し、遺体を回収した」。米軍側に負傷者はなく、「部隊は民間人犠牲者を出さないよう慎重に行動した」という。

 米当局者が匿名で報道陣に語ったところによると、作戦ではビンラディン容疑者と息子1人を含む5人を殺害した。死者には女性1人が含まれるが、これは戦闘員の1人がこの女性を盾にしたためで、他の2人の女性は負傷しただけと説明している。作戦は40分以内に終了したという。米軍はヘリコプター1機を失ったが、「故障」によるものだとしている。

■「米国の勝利」とブッシュ前大統領、全米歓喜に沸く

 発表を受け、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前米大統領は声明で、「この重大な成果は、米国と平和を求める世界中の人びと、そして9.11米同時多発テロで愛する者を失った全ての人びとにとっての勝利だ。テロとの戦いは続くが、米国は今宵、『どれほど長くかかろうとも、正義は行われる』との明白なメッセージを表明した」とコメントした。

 パキスタン情報当局高官も、ビンラディン容疑者の死亡を確認した。

 今年は、2001年の9.11米同時多発テロから10年となる。ビンラディン容疑者の死亡が報じられると、米国各地で歓喜の声が上がった。ホワイトハウス前には深夜にもかかわらず大勢の人びとが集まり、「USA、USA」の大合唱が起きた。

 米軍部隊は9.11同時多発テロ以降、ビンラディン容疑者を捜し続けていた。だが、大規模捜索にもかかわらずこれまで身柄を拘束することができず、同容疑者はパキスタンとアフガニスタンの国境付近に潜伏しているとみられていた。

 米国務省は同日、ビンラディン容疑者死亡を受けて反米暴力の「潜在性が高まった」として、米国の全国民に対し全世界対象の渡航警報を発している。(c)AFP/Stephen Collinson


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