【5月1日 AFP】大統領に選ばれた暁には、中国製品に25%の関税をかけ、米国が石油を独り占めできるようイラクを占領し、韓国には米軍の駐留継続のための経費負担を迫る――2012年に行われる次期米大統領選への出馬が本格化しつつあるのは、派手な言動と桁違いの裕福さで知られる米不動産王ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏(64)だ。

 トランプ氏は前週28日、ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)で1000人を超える共和党員を前に演説し、強烈で時に露骨すぎるほどの言葉で持論を展開した。そして共和党予備選へ出馬するかどうかについては、6月1日までに決めると述べた。

 しかし、心の内はすでに固まっているかのようにトランプ氏は、次から次へとバラク・オバマ(Barack Obama)大統領の政策に対する批判を繰り出し、また米国を不当に扱っているとトランプ氏が考える国々に矛先を向けた。例えば演説の序盤では、最近メディアに登場する度に繰り返している反中的な主張に沿い、「中国が真に行ったことは通貨操作だ」と打ち上げた。

 また、オバマ大統領だけではなく、共和党のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)前大統領にまで砲火を向け、イラクに対する侵攻とその後の占領政策は「賢い人間ならばやらないこと」だと述べた。その一方で、米軍がイラクから撤退した後、イランがイラクを乗っ取って原油の恩恵に浴するのは憂慮すべきだと前置きし、「昔は、戦争をして勝てば、そこは勝った者のものだった。現代では、戦争をしてこれだけ多くの金額を費やし、多くの命を犠牲にしておきながら、わたしたちはただそこを去るだけだ。なぜこんなことをするのか」と述べた。

 政界や政治専門家たちは概して、トランプ氏の大統領選出馬構想を相手にしていないが、世論調査では、本命候補不在の共和党の中で真面目に捉える人が増えている。最新の調査では前回08年の大統領選で出馬したマイク・ハッカビー(Mike Huckabee)前アーカンソー(Arkansas)州知事やミット・ロムニー(Mitt Romney)前マサチューセッツ(Massachusetts)州知事といった知事経験者よりも支持が高かった。(c)AFP/Steve Friess