【4月21日 AFP】オーストラリア・シドニー(Sydney)西部にあるビラウッド入国者収容所(Villawood Detention Centre)で20日夜、収容されていた亡命希望者およそ100人が暴動を起こし、建物9棟に放火した。一部は21日も屋根の上で抗議を続けているという。

 暴動は、2人の被収容者が屋根に上って抗議を始めたことが発端。ビザの発行を拒否している移民局に腹を立てての抗議とみられる。

 暴動に加わった被収容者らは、消火活動にあたった消防隊員らに屋根のタイルや施設の備品を投げつけるなどし、消防隊を警護するために一時、機動隊も出動した。コンピューター室、台所、医療施設、選択室などが延焼した。

■増加する亡命希望者、暴動も頻発

 オーストラリアでは、亡命希望者は手続きが完了するまで強制的に収容所に拘束する方針を取っている。多くは豪州本土から2600キロ離れたインド洋上のクリスマス島(Christmas Island)に収容される。

 しかし、船で漂着する亡命希望者は年々増えており、2010年にはアフガニスタンやスリランカなどから6500人に上った。こうしたなか、本土にある収容所を使用するケースも増えている。今回暴動のあったビラウッド入国者収容所は400人の収容力がある。
 
 同収容所では前年9月にも、強制送還が決まったフィジーからの亡命希望者が他の収容者たちの目の前で屋上から飛び降り自殺し、抗議行動が起きた。この時は、被収容者たちが屋根の上に29時間、とどまり続けた。

 クリスマス島の収容所でも今年3月に暴動が続き、250人の被収容者たちが居住用テントに火をつけたり警察に手製爆弾を投げつけるなどして、警官隊が催涙ガスで鎮圧に当たる事態に発展している。(c)AFP/Martin Parry