【4月8日 AFP】アフガニスタンの公務員、アハマド・マフーズ(Ahmad Mahfooz)さん(27)は、平均労働者の10倍もの給料を手にしている。それでも金銭面での不安から、婚約者と結婚できないでいる。

 マフーズさんは、前年12月に500人を招いた婚約パーティーを催し、数千ドルの借金を負っている。「知りうる限り、全ての友人から金を借りた。いつになったら結婚するのに十分な資金を貯められるのか見当もつかないよ」

 アフガニスタン中流層の間では近年、挙式費用の急騰についていけず、結婚できない若者が増えているという。

 10年前に米軍の攻撃でイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)による支配が終わって以来、アフガニスタンでの結婚式は身内で行う簡素なものから、1000人を超える親戚や友人を招いて特別仕様の式場で行う、贅を尽くした豪華な式へと変遷した。

 アフガニスタンでは、伝統的に挙式費用や新婦の家族への結納金は全額、新郎が負担する慣習となっている。このため、現在の結婚式では富を誇示できる能力が新郎に求められるようになった。

 こうした事情を背景に、高額な挙式費用を負担に感じて結婚を遅らせる若者が増加していることから、アフガニスタン政府は、パーティーへの招待客数を最大300人までに制限し、1人当たりの費用を250アフガニ(約430円)までとする新法を導入する案を検討している。

 法務省の担当者は、「若者たちが結婚できない最大の理由は、結婚費用を払えないからだ。このような傾向に歯止めをかけなければならない」と語った。

■外貨の流入で結婚式も豪勢に

 米軍とタリバンとの戦闘が続いたアフガニスタンには国際社会から巨額の援助金が流れ込んだ。カブール大学(Kabul Universit)の社会学講師バラヤライ・フェトラート(Barayalai Fetrat)氏によると、現在の豪勢な結婚式は、こうした資金で裕福となった一部の人びとが、富を見せびらかす手段として派手な結婚式を作り出しもので、アフガニスタンの伝統に根ざした慣習ではないと指摘。庶民の平均年収がわずか540ドル(約4万6000円)というアフガニスタンに出現したぜいたくな慣習を嘆く。

 一方、カブールで店舗を経営する29歳の青年、バシールさんにとっては、パーティー費用を制限する新法が導入されても、もはや手遅れだ。3年前に結婚したバシールさんは、今でも挙式費用の借金1万5000ドル(約130万円)の返済を続けている。これまでに返済できた額は、やっと半額程度だ。

 だが、バシールさんは、もし豪勢な結婚式を挙げていなければ、「親戚から見下されていただろう」と語った。(c)AFP/Usman Sharifi