【3月28日 AFP】愛煙家とタバコの撲滅に励むニューヨーク(New York)のマイケル・ブルームバーグ(Michael Bloomberg)市長も、目と鼻の先のブルックリン(Brooklyn)地区に「タバコ農園」があることを知れば、きっと驚くに違いない。

 ブルックリンに住む元警察官のオードリー・シルク(Audrey Silk)さん(46)の自宅の庭には、「抵抗勢力」が植えたタバコの鉢植えが100個並んでいる。チェーンスモーカーのシルクさんは、市長の禁煙政策に立ち向かう「喫煙ゲリラ」の指導者だ。

 シルクさんの庭で栽培されるタバコは約400箱分。もちろん、市にタバコ税は収めていない。

「この庭はね、『くたばれブルームバーグ庭園(Screw You Bloomberg Garden)』って呼ばれてるの」と、ちゃめっ気たっぷりにシルクさんは語った。

■喫煙禁止区域広がる市内

 元愛煙家の億万長者、ブルームバーグ市長は、真剣にニューヨークを健康にする取り組みを推し進めている。すでに市内ではレストランやバー、オフィスは禁煙となっているが、今年2月には、市内の公園、ビーチ、歩行者専用区域も禁煙とする法案に署名した。タイムズスクエア(Times Square)などの繁華街も対象で、5月に発効する。

 また、タバコ価格を上げるために課税を強化。いまではニューヨークのタバコの値段は1箱12~15ドル(約980~1200円)と、米国内でも最も高い水準になった。恐ろしい写真を使った広告キャンペーンや、両親を失った子どもが泣くテレビCMなども支援している。

■「政府介入への反乱よ」

 人権活動家を名乗るシルクさんの主張は、不健康な習慣にふけりたい、というだけではない。彼女の庭は、政府の干渉に対抗する手段なのだ。

「これは、わたしの人生に介入してくる政府に対する反乱」と、シルクさんはタバコの煙が充満したキッチンで語った。「わたしたちはナチズムと比較して考えてる。一部の人びとを社会ののけ者に仕立て上げることで、支配しようとしてるときの行動よ」

 屋外での禁煙条例が施行された際には、仲間を引きつれて公園でタバコを吸うつもりだという。「スモーク・イン・ザ・パークよ。法律に対する明白な反逆なのよ」と、シルクさんは計画について説明した。(c)AFP/Sebastian Smith